人手不足や業務負担が深刻化する介護現場で、AIによる業務自動化への関心が高まっています。私たちは関連会社の介護・医療の現場とともに、AIコーディングツール「Claude Code」を使って、非エンジニアのまま社内システムを多数内製してきました。本記事では、その実体験に基づき、Claude Codeで介護事業の業務を自動化する方法を現場の視点で解説します。
Claude Codeとは、日本語で指示するだけでパソコン内の作業を代行し、自社の業務に合わせた仕組みを作れるAIコーディングツールです。プログラミング知識がない非エンジニアでも、介護現場の細かなニーズを反映した社内システムを内製できます。「記録作成に毎日2時間かかっているのを半分にしたい」といった具体的な目標を立てたスモールスタートが推奨されます。
介護のDX、なぜ今「内製」なのか
介護業界では、人手不足に加えて記録・報告業務の複雑化が進み、現場の負担は増すばかりです。DXへの期待は高い一方、外部システムの導入には課題もあります。
私たちもさまざまなシステムを検討し、導入してみたものの現場の細かなニーズに合わず、期待した効果が出なかった経験があります。外部システムは導入費だけでなく運用費・改修費もかさみ、ベンダーに依存するリスクもあります。介護の業務は事業所ごとに千差万別で、既製品では「痒い所に手が届かない」部分がどうしても残ります。
そこで「内製」です。内製なら現場の声が直接反映され、小さな改善を素早く繰り返せます。かつては専門知識が必要だった内製も、AIコーディングツールの進化で、非エンジニアでも手が届く時代になりました。

Claude Codeとは?「使うAI」ではなく「つくるAI」
ひとことで言えば、Claude Codeは「日本語で指示するだけで、パソコンの中の作業を代わりにこなしてくれるAI」です。プログラミング知識がなくても、「この表を集計して」「この文章を型に整えて」とお願いすれば、その通りに動く仕組みを作ってくれます。
ChatGPTのような「質問して答えをもらう」使い方と違い、Claude Codeは「自社の業務に合わせて動く仕組みをつくる」AIです。介護現場では、たとえば次のような業務の自動化が視野に入ります。
- 記録・報告業務:メモや音声からの情報を所定のフォーマットの文章に自動整形。申し送り事項の自動まとめ
- 請求・レセプトの一次チェック:サービス記録と請求データを照合し、食い違いやエラーパターンを自動検出
- 採用・人事の支援:求人文面の下書き、応募者情報の整理、面接日程調整文面の自動生成
- 日報・報告の作成:稼働状況・利用者数などを自動集計し、定型の日報・月次報告を自動生成
- 経営データの見える化:稼働率・人件費・売上をリアルタイム集計し、ダッシュボード化

私たちが実際に内製してきたもの
株式会社SECRET MEDICINEは大阪府八尾市を拠点に、訪問介護・訪問看護・住宅型有料老人ホームの運営に関与し、高齢者の住まい探し支援も行っています。非エンジニアのまま、Claude Codeでこんな仕組みを内製してきました。
- 訪問スケジュールの作成支援ツール:スタッフのスキル・利用者のニーズ・移動距離を考慮してルートと担当の案を出すツール。作成負担の軽減と効率的なサービス提供に役立っています
- 記録業務の効率化:現場のメモ・音声情報を記録フォーマットに自動整理。記録にかかる時間が減り、利用者と向き合う時間を確保しやすくなりました
- 入居紹介業務の管理システム:地域・費用・医療ニーズなどの条件から合う施設を素早く絞り込める仕組み。マッチングの精度と紹介のスピードが上がりました
- 経営ダッシュボード:事業所ごとの稼働率・人件費・売上を自動集計し、経営層がリアルタイムに状況を把握できる画面を内製
これらは現場の看護師も巻き込みながら、「もう少しこうだったら」の声を直接システムに反映して育ててきました。内製だからこそ、改善のサイクルを速く回せます。

内製を始めるステップと注意点
1. スモールスタートを徹底する
いきなり大きなシステムを狙わず、「これだけは自動化したい」という小さく明確な業務から始めてください。日報の下書き、特定のデータ集計、記録のフォーマット整理など、効果を実感しやすい定型業務が入口に向いています。小さな成功体験が現場のモチベーションと次のステップにつながります。
2. 現場の課題を具体的に洗い出す
自動化は手段で、目的は課題解決です。「業務を効率化したい」ではなく、「記録作成に毎日2時間かかっているのを半分にしたい」のように、現場へのヒアリングで具体的な目標を決めましょう。
3. AIへの指示のコツを掴む
- 役割を与える:「あなたはベテランの介護記録担当です」のように前提を設定する
- 条件を明確に:「○文字以内で」「この形式で」と具体的に伝える
- 出力形式を指定:箇条書き・表形式など、欲しい形を明示する
- 具体例を見せる:「この入力に対して、この出力が欲しい」と例で示す
最初は試行錯誤が要りますが、慣れると狙い通りの仕組みが速く作れるようになります。
4. セキュリティと個人情報への配慮を徹底する
介護現場は個人情報の塊です。AIに渡すデータの範囲を限定する、匿名化する、取り扱いルールを決めてスタッフに周知する。この設計を最初に行ってください。ここを疎かにした自動化は、効率化のメリットを一瞬で吹き飛ばすリスクになります。

よくある質問
プログラミングの知識が全くなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。Claude Codeは日本語の指示でコードを書いてくれるため、専門知識よりも「業務を熟知していること」のほうが重要です。実際、私たちの開発には現場の看護師も関わっています。そのうえで、現場の課題をはっきりさせ、「何をどうしてほしいか」を具体的に伝える力がいります。
どの業務から始めるのがおすすめですか?
「毎日やっている」「定型的」「時間がかかっている」の3条件が揃う業務からがおすすめです。日報の下書き、記録の整形、簡単な集計、シフト作成の補助など。効果を早く実感でき、現場の負担軽減に直結します。(2026-09-07 時点の情報。制度・統計の出典:厚生労働省「介護・高齢者福祉」)
自分たちだけでは不安です。支援は受けられますか?
当社では、AIコンサルティングや介護経営OSの形で、内製の企画から開発・運用改善までを支援しています。関連会社の介護・医療の現場とともにAI内製をしてきた立場なので、現場の実情に合った進め方をご提案できます。まずは課題の整理からお気軽にご相談ください。
作ったツールの保守は誰がしますか?
日常の小さな修正は作った本人ができる形にしておくのが基本です。仕組みが複雑になってきたら、外部の支援と組み合わせて保守の範囲を決めると無理がありません。
- Claude Codeは日本語の指示で業務の仕組みを「つくる」AI。非エンジニアでも内製できる
- スモールスタート×現場の具体的な課題設定が成功の条件
- 個人情報の取り扱い設計を最初に。効率化とセキュリティはセット
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