介護のBCP(業務継続計画)は、地震や風水害、感染症のまん延といった非常時でも、利用者へのサービスをできるだけ止めない・早く再開するための計画です。2024年度から策定が義務化され、未策定は減算の対象になりました。とはいえ、日々の業務に追われる中で分厚い計画を一から書くのは大変です。AIは厚生労働省のガイドライン・雛形をもとにした「下書き」と「不足の点検」を助けられますが、連絡網や地域のハザード、設備といった中身は自事業所の事実に基づく必要があり、最終的な確認と決定、そして訓練・見直しは人が担います。介護の現場を運営し、非エンジニアでAIを内製してきた私たちが、形だけで終わらせない作り方をまとめます。
介護のBCP(業務継続計画)とは、自然災害や感染症の発生時に、利用者へのサービス提供を維持し早期復旧させるための計画です。2024年度から策定が義務化され、未策定の場合は施設・居住系で3%、その他のサービスで1%相当の減算対象となりますが、訪問系サービスや居宅介護支援は2026年度末まで減算が猶予されます。AIに下書きや点検を補助させることで作成負担を軽減できますが、実効性を持たせるには自事業所の事実に基づく確認、訓練、見直しが必要です。(2026-09-07 時点の情報。制度・統計の出典:厚生労働省「介護分野における生産性向上ポータルサイト」)
介護BCPの義務化と減算の要点
まず制度の前提を押さえます。BCPは2021年度の報酬改定で策定が義務づけられ、2024年3月末までの経過措置を経て、2024年度から本格的に運用されています。
- 未策定減算:2024年度改定で「業務継続計画未策定減算」が導入。施設・居住系は所定単位数の3%相当、その他のサービスは1%相当が減算される
- 適用時期はサービス種別で異なる:施設・居住・通所系は経過措置が終了し、未策定だと減算の対象。一方、訪問系サービス・居宅介護支援は2026年度末まで減算の対象外とされている
- 求められること:計画の策定だけでなく、周知・研修・訓練(シミュレーション)と定期的な見直しまでが一体で求められる
減算の適用条件や猶予はサービス種別によって細かく異なります。自事業所がどの扱いになるかは、必ず管轄自治体・厚生労働省の最新の案内で確認してください。運営指導(実地指導)でも確認される項目のため、備えの考え方は運営指導(実地指導)の準備をAIで効率化するもあわせてご覧ください。

BCPに書くこと(自然災害・感染症)
介護のBCPは大きく「自然災害」と「感染症(新興感染症のまん延)」の2種類を想定します。それぞれ、次のような要素を自事業所の実情に合わせて書きます。
| 区分 | 主に書くこと |
|---|---|
| 共通(体制) | 指揮命令・連絡網、職員の参集基準、意思決定者の代替 |
| 自然災害 | 地域のハザード(浸水・土砂)、建物・設備の被害想定、備蓄、優先業務の絞り込み |
| 感染症 | 発生時の初動、ゾーニング、職員が欠けたときの体制、必要物資の確保 |
| 復旧・連携 | サービス再開の目標時間、家族・医療機関・自治体との連携 |
ポイントは、「非常時に、限られた人手で、どの業務を優先して続けるか」を具体的に決めておくことです。ここが曖昧だと、計画があっても現場で動けません。

AIで下書き・点検できる部分
役割を分けると、負担を減らしつつ中身の薄い計画を避けられます。
- 雛形の下書き:厚労省の様式・ガイドラインの構成に沿って、自事業所の情報を渡し、文章の下書きをAIに作らせる
- 不足の点検:「連絡網・参集基準・優先業務・備蓄が書けているか」といった抜けをAIに洗い出させる
- 研修資料の下書き:作った計画をもとに、職員向けの説明資料や訓練シナリオの案を作る
- 見直しメモの整理:訓練でわかった課題を、次の改訂に反映する形にまとめる
逆に、地域のハザード情報、実際の連絡先、設備の状況、優先業務の判断は、自事業所の事実と現場の判断が要る部分です。ここをAIの一般的な記述で埋めてしまうと、「動かないBCP」になります。

作成の流れ(雛形を埋めるところから)
ゼロから書く必要はありません。公開されている雛形を土台に、次の流れで進めます。
- ① 厚労省・自治体の雛形を用意する(自然災害・感染症の2種類)
- ② 自事業所の事実(連絡網・設備・地域のハザード・優先業務)を箇条書きで整理する(ここは人)
- ③ その情報と雛形の構成を渡し、AIに各項目の文章を下書きさせる
- ④ 管理者・現場が内容を確認し、実態に合わせて直す(ここも人)
- ⑤ 周知・研修・訓練を行い、わかった課題をAIの整理も使って次の改訂へ反映する
この「雛形+自事業所の事実+AIの下書き」の組み合わせなら、質を保ちながら作成時間を短くできます。日々の記録や書類づくりを軽くする発想は施設長の日報作成をAIで時短する仕組みにも通じます。

形だけにしない(研修・訓練・見直し)
- 周知:作った計画を全職員が知っている状態にする。分厚い冊子より、要点の一枚が現場では効く
- 研修・訓練:年間計画に組み込み、動かしてみる。連絡網が回るか、参集できるかを確かめる
- 見直し:訓練でわかった課題や、体制・地域の変化を反映して改訂する
- 記録:研修・訓練の実施記録を残す。運営指導での確認にも備えられる
BCPの目的は、書類を揃えることではなく、非常時に利用者の命と暮らしを守れることです。AIは作成と見直しの手間を減らす道具として使い、実際に動ける状態にすることを目標にしてください。

よくある質問
BCPを作っていないと減算されますか?
はい。2024年度の報酬改定で業務継続計画未策定減算が導入され、施設・居住系は所定単位数の3%相当、その他は1%相当が減算されます。施設・居住・通所系は経過措置が終了して対象ですが、訪問系・居宅介護支援は2026年度末まで対象外とされるなど、適用時期はサービス種別で異なります。詳細は管轄の案内を確認してください。
BCPは何種類作ればよいですか?
「自然災害」と「感染症(新興感染症のまん延)」の2種類が基本です。サービス種別によって想定すべき事態が異なるため、自事業所のサービスに合わせて内容を具体化します。
AIに任せれば厚労省の雛形をそのまま完成できますか?
雛形の空欄を自事業所の実情に合わせて埋める下書きは、AIが助けられます。ただし、連絡網・設備・地域のハザードなどは自事業所の事実に基づく必要があり、そのまま使えるものではありません。内容の確認と決定は人が行います。
作るだけでなく研修や訓練も必要ですか?
はい。BCPは策定に加え、周知・研修・訓練(シミュレーション)と定期的な見直しが求められます。年間計画に組み込み、実施の記録を残しておくことが、運営指導への備えにもなります。
BCP作成のAI活用を相談できますか?
はい。介護の現場を運営しAIを内製してきた立場で、雛形の埋め方から研修・見直しの回し方まで、形だけで終わらせないやり方をご相談いただけます。LINE・電話でどうぞ。
- BCPは2024年度から義務化。未策定は減算(施設・居住系3%相当/その他1%相当)の対象
- 自然災害・感染症の2種類。優先業務・連絡網・参集基準を自事業所の事実で具体化する
- AIは雛形の下書きと不足点検を担当。中身の決定・訓練・見直しは人。目的は「動く計画」
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