訪問介護のルート・シフト作成は、サービス提供責任者(サ責)や管理者を悩ませ続ける業務です。移動時間、資格、利用者との相性、急な変更対応など、考慮すべき要素は膨大です。本記事では、AIでルート・シフト作成を自動化し、現場の負担を軽くする具体的な方法を、自社で訪問介護を運営する立場から解説します。
訪問介護のルート・シフト作成のAI自動化とは、サービス提供責任者や管理者が手作業で行っていた複雑なスケジュール調整を、人工知能を用いて効率化する仕組みです。移動時間や必要な資格、利用者との相性などの膨大な条件をAIが素早く計算し、最適な訪問ルートのたたき台を作成します。これにより、移動の無駄が減って1日の訪問件数を増やせる余地が生まれ、属人化の解消や急な変更への迅速な対応が可能になります。
なぜルート・シフト作成はこんなに大変なのか
利用者ごとのニーズ、ヘルパーのスキルや資格、移動手段、地理条件といった数え切れない要素をパズルのように組み合わせる作業は、熟練の技そのものです。私たちが自社で訪問介護を運営する中で実感している課題は次の通りです。
- 移動時間のムダが出やすい:訪問先が点在し希望時間もバラバラなため、効率的なルートが組みにくく、移動時間がサービス提供時間とヘルパーの体力を圧迫する
- 考慮する条件が多すぎる:資格が必要なケア、利用者との相性、移動手段の違いなど、すべてを同時に最適化するのは至難の業
- 急な変更で毎回組み直し:体調急変によるキャンセルやヘルパーの欠勤は日常茶飯事。そのたびにシフトを見直す手間は計り知れない
- 業務の属人化:複雑な条件を捌けるのは経験豊富な特定の担当者だけ。その人が休む・辞めると業務が滞るリスクを常に抱える

AIによるルート・シフト作成のメリット
移動時間の最適化
AIは訪問先間の距離・移動手段・時間帯を計算し、効率的な訪問ルートを提案します。移動時間が減った分を、質の高いサービス提供や休息に充てられます。結果として1日の訪問件数を増やせる余地も生まれ、稼働率の向上につながります。
複雑な条件の自動考慮
ケア内容に必要な資格、性別の希望、スキル、過去の訪問履歴からみた相性といった、サ責が一つひとつ手作業で確認していた条件を、AIが一元的に処理して最適なマッチング案を出します。作成にかかる時間と精神的な負担が大きく軽くなります。
急な変更への対応
キャンセルや欠勤が出ても、残りの訪問予定と稼働可能なヘルパーの状況から、代替案を素早く出せます。緊急時にもサービスを途切れさせず、利用者とご家族の信頼を守れます。
属人化の解消
AIが「たたき台」を作ることで、特定の担当者の経験に依存せず、誰でも一定水準のルート・シフトを組めるようになります。担当者が休みを取りやすくなり、引き継ぎもスムーズになります。
売上の見える化
稼働状況・サービス提供時間・移動時間がデータとして貯まるため、どこにリソースが割かれているか、どの時間帯に空きがあるかが明確になります。人員配置やサービス計画の判断材料になり、稼働率と収益の改善につながります。

自動化までの具体的なステップ
ステップ1:条件の洗い出し
現在の作成業務で困っている点と、必ず守りたいルールを明確にします。「この利用者は女性ヘルパー希望」「午前中にサービス提供必須」「このヘルパーは車の運転ができない」。こうした条件をAIが理解できる形に整理することが第一歩です。
ステップ2:AIによるたたき台の作成
条件・利用者情報・ヘルパーのスキルや希望時間を入力すると、AIが複数の条件を同時に満たしつつ移動時間を抑えた案を自動で作ります。ゼロから考えるよりはるかに速く、抜け漏れも減ります。
ステップ3:現場感覚での最終調整
AIの案はデータに基づく最適解ですが、長年の信頼関係やその日の体調など、数値化できない要素は現場にしか分かりません。サ責・管理者がAIの提案をベースに最終調整を行います。AIは正解を出す機械ではなく、業務を支えるパートナーです。
ステップ4:運用しながら育てる
「このルートはいつも渋滞する」「このヘルパーはこの利用者と相性が良い」といった現場のフィードバックを反映していくことで、AIの提案は現場に馴染んでいきます。導入して終わりではなく、運用と改善の繰り返しが精度を上げます。

現場を知る立場からの支援
私たち株式会社SECRET MEDICINEは、大阪府八尾市で訪問介護・訪問看護・住宅型有料老人ホームの運営に関与し、看護師も在籍しています。複雑なルート・シフト作成が現場の疲弊や離職につながりかねない現状を、当事者として見てきました。だからこそ、社内業務をAIで内製化した経験をもとに、その仕組みをAIコンサル・介護経営OSとして介護事業者向けに提供しています。空いた時間を利用者とのコミュニケーションやヘルパー育成、事業の次の一手に使える現場を、一緒につくれればと考えています。

本記事は訪問介護のルート(移動)とシフトの組み合わせに絞っています。施設内のシフト全般(夜勤・希望休・配置基準の自動作成)は、介護シフトの自動作成をAIで行う方法にまとめています。
よくある質問
AI導入は費用が高いのではないですか?
初期費用や月額費用はかかりますが、作成業務の時間短縮、移動効率化による経費の圧縮、稼働率向上による増収まで含めて費用対効果で考えるのがおすすめです。小さく始めて効果を確かめながら広げれば、リスクを抑えられます。(2026-09-07 時点の情報。制度・統計の出典:介護労働安定センター)
AIに任せきりで大丈夫ですか?現場の細かい事情は考慮されますか?
AIは「たたき台」を作るツールで、最終判断は現場の感覚に委ねる運用が前提です。人間関係やその日の体調など数値化できない要素は必ず残ります。AIの案を人が微調整する「協働型」の運用が、介護現場には最も適しています。
導入に特別なITスキルは必要ですか?
現場の方が直感的に操作できる設計にすれば、特別なプログラミング知識は不要です。導入時に操作の説明と活用のレクチャーを行い、運用開始後もフォローする体制を組めば、ITが苦手な方でも無理なく使えます。
シフト作成にかかる時間はどのくらい減りますか?
削減幅は事業所の規模と制約条件の数で変わるため一律には言えません。まず現在シフト作成に使っている時間を測ってから導入すると、効果を数字で確認できます。
- ルート・シフトの複雑さの正体は「同時に満たすべき条件の多さ」
- AIがたたき台を作り、人が現場感覚で仕上げる協働型が最適
- 移動効率・属人化解消・売上見える化まで、効果は作成時短にとどまらない
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