介護事業所のAI・ICT導入に使える公的支援は、大きく4つに整理できます。①介護専用の「介護テクノロジー導入支援事業」(補助率3/4が基本)、②業種を問わない「デジタル化・AI導入補助金」(旧IT導入補助金・最大450万円)、③設備投資向けの「中小企業省力化投資補助金」(最大1億円)、④人を育てる「人材開発支援助成金」(経費最大75%)です。大阪・八尾で関連会社の施設・訪問介護・訪問看護の現場とともにAIを内製してきた立場から、この4制度の違いと目的別の選び方を1枚にまとめます。(2026年7月22日時点。詳細は各制度の公式情報でご確認ください)
介護事業所が使えるAI・ICT補助金とは、介護現場のデジタル化や業務効率化を支援する公的な制度のことです。主に介護テクノロジー導入支援事業、デジタル化・AI導入補助金、中小企業省力化投資補助金、人材開発支援助成金に分類されます。例えば、デジタル化・AI導入補助金は最大450万円、人材開発支援助成金は経費最大75%が対象となります。導入目的や対象経費に応じて適切な制度を選び、必要に応じて併用を検討することが重要です。
結論:4制度の全体地図
まず結論です。介護の現場がデジタル化でつまずかないために、制度は「何に使うか」で選びます。機器・ソフトなら介護専用制度が最優先、合わなければ汎用の2制度、人材育成は助成金。この順で見れば迷いません。
- 見守り機器・記録ソフト・介護ロボット → 介護テクノロジー導入支援事業(介護専用・補助率が高い)
- 会計・請求・予約などの業務ソフト全般 → デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
- 大型の省力化設備・オーダーメイド開発 → 中小企業省力化投資補助金
- 職員のAI研修・学び直し → 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

4制度の比較表
| 制度 | 何に使う | 補助率・上限の目安 | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 介護テクノロジー導入支援事業 | 見守り機器・記録ソフト・移乗/入浴支援 | 3/4基本(要件で4/5)。記録ソフト最大250万円・見守り1台30万円等 | 都道府県 |
| デジタル化・AI導入補助金 | 業務プロセスを持つソフト・クラウド(最大2年分) | 1/2〜2/3・5万〜450万円(通常枠) | 国の事務局 |
| 省力化投資補助金 | IoT・ロボット等の省力化設備 | カタログ型は従業員数で200万〜1,500万円/一般型は最大1億円・2/3 | 国の事務局 |
| 人材開発支援助成金 | 職員のAI研修・DX講座の経費と賃金 | 経費最大75%+賃金1時間1,000円(中小) | 労働局 |
それぞれの深掘りは個別記事にまとめています:介護テクノロジー導入支援事業の詳細/デジタル化・AI導入補助金2026/省力化投資補助金/介護職員のリスキリング。

目的別の選び方
| やりたいこと | 第一候補 | ポイント |
|---|---|---|
| 夜間の見守り負担を減らしたい | 介護テクノロジー導入支援事業 | 見守り機器+体制見直しをセットで計画 |
| 記録・請求を楽にしたい | 介護テクノロジー導入支援事業(記録ソフト) | 締切を逃したらデジタル化・AI導入補助金も検討 |
| 送迎・調理など特殊業務の省力化 | 省力化投資補助金 | カタログに合う製品があるかをまず確認 |
| 職員がAIを使えるようにしたい | 人材開発支援助成金 | 計画届は訓練開始1か月前まで・2026年度が最終とされる |
注意したいのは時期です。介護テクノロジー導入支援事業は都道府県ごとの公募期間が短く、大阪府の令和8年度分は2026年7月13日で受付を終えています。「使いたい時に募集していない」が普通に起こるため、複数制度を地図として持っておくことに意味があります。

併用の考え方と注意点
- 同じ経費に2つの補助金は使えない:同一の機器・同一の経費への重複受給は不可が原則です
- 対象を分ければ併用の余地:例えば「見守り機器は介護テク補助」「会計ソフトはデジタル化・AI導入補助金」「研修は助成金」のように、経費を分ける設計は検討できます(可否は各要領・窓口で確認)
- 交付決定前の発注はNG:どの制度も、決定前に契約・支払いした経費は原則対象外です
- 精算払いが基本:先に自社で支払い、後から補助金が入る流れが一般的。資金繰りに織り込んでください

私たちの考え:補助金は「業務設計」の後
私たちは自社の施設で、施設長の日報と人件費率の見える化、介護記録のAI下書き、訪問のルート組み、医療券・介護券の管理などを内製してきました。どれも最初は小さく作って現場で直しながら育てたもので、大きな投資はその後です。補助金で先に大きな道具を買うと、現場が追いつかず「使われないシステム」になる。これは介護に限らず、相談を受ける中で最も多い失敗です。
順番は、①業務の時間を測る → ②小さく試して効果を確かめる → ③効果が見えた領域に、合う制度で投資する。この考え方の土台は介護経営OSとはに書いています。

よくある質問
どれか1つしか使えないのですか?
同じ経費への重複はできませんが、経費を分ければ複数制度の活用を検討できます。組み合わせの可否は各窓口への事前確認が確実です。
小規模の訪問介護でも対象になりますか?
4制度とも小規模事業者を排除していません。介護テクノロジー導入支援事業は在宅系も対象で、記録ソフトや情報端末から始める例が多くあります。
申請の相談は誰にすればいいですか?
制度により窓口が違います。介護テク補助は都道府県、デジタル化・AI導入補助金は支援事業者、助成金は労働局・社労士が入口です。導入内容の設計は当社にもご相談いただけます。
補助金が入るまで費用は立て替えですか?
はい、精算払いが基本です。交付決定→導入・支払い→実績報告→入金の順になるため、数か月分の資金繰りを見込んでください。
まず何から始めるべきですか?
業務ごとの時間の計測をおすすめします。数字があれば「どの制度で何を入れるか」が自然に決まり、計画書の説得力も上がります。
- 介護のAI・ICT導入は4制度で考える:介護テク補助(3/4)・デジタル化AI補助金(450万)・省力化(1億)・人材開発(75%)
- 同一経費の重複は不可、交付決定前の発注はNG、支払いは精算払い。時期を逃す前提で地図を持つ
- 順番は「業務の時間を測る→小さく試す→合う制度で投資」。補助金は業務設計の後に使う道具
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