介護記録や利用者情報には、氏名や住所だけでなく、病歴や心身の状態といった「要配慮個人情報」が多く含まれます。これらをAIで扱うときは、便利さの前に、個人情報保護と同意の準備が欠かせません。利用者を特定できる情報はそのまま入れず、要点だけを扱う・社内で認めた環境を使う・利用目的と同意を整理する。この土台を先に作ることが、安全なAI活用の条件です。医療・介護の情報には「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」など(いわゆる3省2ガイドライン)が関わり、個人情報保護法の考え方も踏まえる必要があります。この記事は現場が最初に確認すべき点を整理するもので、個別の法的判断は専門家・自治体にご確認ください。(2026-09-07 時点の情報。制度・統計の出典:個人情報保護委員会)
介護現場でのAI活用における個人情報保護とは、病歴や心身の状態といった要配慮個人情報を守りながら、安全にシステムを利用するための取り組みです。利用者を特定できる情報はそのまま入力せず、要点だけを扱うことや、社内で認めた環境を使うことが求められます。現場で守るべきルールを1枚にまとめておくことで、運用しやすくなります。また、利用目的と同意の範囲を整理し、3省2ガイドラインや個人情報保護法の考え方を踏まえることが重要です。
なぜ介護のAI活用は個人情報に注意が要るのか
介護の現場が扱う情報は、機微なものばかりです。誰が・どんな状態で・どんなケアを受けているかは、外に出れば本人の不利益に直結します。AIやクラウドを使うと、情報が事業所の外のサービスを経由することがあるため、通常の紙の記録以上に、扱いのルールが重要になります。
- 機微性が高い:病歴・障害・生活状況など、配慮が必要な情報が多い
- 経路が増える:クラウド型のAIは、情報が外部のサービスを通ることがある
- 信頼の問題:一度の漏えいが、利用者・家族との信頼を大きく損なう
だからこそ、AIの導入は「何ができるか」だけでなく「何を入れないか」から考えます。導入の順番の考え方は介護事業所のAI導入|どの業務から始めるかもあわせてご覧ください。

「個人情報」と「要配慮個人情報」
まず言葉を整理します。個人情報は、氏名や住所など特定の個人を識別できる情報です。そのうち、取り扱いに特に配慮が必要なものを「要配慮個人情報」と呼びます。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 個人情報 | 氏名、住所、電話番号、生年月日、顔写真など |
| 要配慮個人情報 | 病歴、心身の状態、障害、要介護度に関する情報など |
介護記録は、この要配慮個人情報を多く含みます。要配慮個人情報は、取得や第三者提供に原則として本人の同意が求められるなど、通常の個人情報より慎重な扱いが必要です。AIに渡す情報を考えるときも、この区分を意識します。

関わるルールの考え方
医療・介護の情報を扱うときは、次のような枠組みが関わります。細かな要件は改定されるため、必ず最新の公的資料で確認してください。
- 個人情報保護法:利用目的の特定・通知、要配慮個人情報の同意、安全管理措置などの基本ルール
- 医療情報の安全管理のガイドライン(いわゆる3省2ガイドライン):厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」と、総務省・経済産業省の医療情報を扱う事業者向けガイドラインの総称。医療・介護情報をシステムやクラウドで扱う際の安全管理の考え方
- 事業所の契約・重要事項:利用者との間で交わした説明・同意の範囲
これらは「AIを使ってはいけない」という趣旨ではなく、「使うなら、目的・範囲・安全管理を整理して使う」という考え方です。ここは法的な判断が絡むため、記事の内容は一般的な整理にとどめ、個別の可否は専門家・自治体に確認するのが安全です。

同意取得の考え方
要配慮個人情報の取り扱いには、原則として本人の同意が関わります。実務では、契約時の説明や重要事項説明の中で、情報の利用目的をわかる言葉で伝え、同意を得るのが一般的です。
- 利用目的を具体的に:「ケアの質の向上・記録業務の効率化のために情報を扱う」など、目的をわかる言葉で示す
- 外部サービスの利用を含める:クラウドやAIを使う場合は、その旨と扱われ方の考え方を説明に含める
- 範囲を広げすぎない:「何にでも使える」ような包括的な同意に頼らず、目的に沿った範囲にする
具体的な同意の様式や文言は、事業所の運用とガイドライン、必要に応じて専門家の助言に沿って整えます。オンコールなど機微な記録を扱う場面での注意は訪問看護のオンコール対応をAIでも参考になります。

現場でAIを使う前のチェック
難しく考えすぎず、まず現場で守れる小さなルールから始めます。次のような点を、社内で1枚にまとめておくと運用しやすくなります。
- 入れる情報・避ける情報:氏名・住所など特定できる情報は外し、要点だけを扱う
- 使う環境:社内で認めたツール・環境を使い、私物や無許可のサービスに機微情報を入れない
- 確認者:AIの出力は人が確認してから使う。判断を丸投げしない
- 保存と削除:やり取りの保存・削除の扱いを決めておく
- 見直し:まず小さく決めて、運用しながら定期的に見直す
社内での使い方のルールづくりは、AI活用の土台です。経営全体でのAIの位置づけは介護経営OSとはをご覧ください。ルールは一度で完璧にしようとせず、線引きを決めて運用しながら育てていきます。

よくある質問
介護記録をそのままAIに入れても良いですか?
利用者を特定できる情報をそのまま入れるのは避けるのが基本です。氏名や住所などを外して要点だけを扱う、社内で認めた環境を使う、利用目的を整理する、といった準備をしてから使います。判断に迷う場合は、事業所のルールや関連ガイドライン、必要に応じて専門家・自治体に確認してください。
要配慮個人情報とは何ですか?
病歴や心身の状態、障害に関する情報など、取り扱いに特に配慮が必要な個人情報です。介護記録はこうした情報を多く含むため、通常の個人情報より慎重な取り扱いと、原則として本人の同意が求められます。
利用者の同意はどのように取ればよいですか?
利用目的を分かる言葉で説明し、契約時の説明や重要事項の中で同意を得るのが一般的です。AIやクラウドを使う場合は、情報がどう扱われるかを含めて説明します。具体的な様式や範囲は、事業所の運用と関連ガイドライン、必要に応じて専門家の助言に沿って決めてください。
どんな社内ルールを決めておくべきですか?
入れてよい情報・避ける情報の線引き、使ってよいツールや環境、確認者、記録の保存と削除のルールなどです。まず小さく決めて運用しながら見直すのが現実的です。
AIの個人情報対応を相談できますか?
はい。介護の現場を運営しAIを内製してきた立場で、現場で無理なく回るルールづくりの考え方をご相談いただけます。法的な判断そのものは専門家・自治体への確認をおすすめします。LINE・電話でどうぞ。
- 介護記録は病歴などの要配慮個人情報を多く含む。AIには特定できる情報を入れないのが基本
- 個人情報保護法や医療情報のガイドライン、契約・重要事項の範囲を踏まえて使う
- 線引き・環境・確認者・保存削除を1枚のルールにし、運用しながら見直す。法的判断は専門家へ
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