SECRET MEDICINE
AIの基礎

介護でAIを使う前の個人情報保護と同意取得|現場の確認点

2026.07.25 読了 約8分 介護 AI 個人情報保護 同意 更新 2026.10.17
事業所で書類とパソコンを前に確認する様子使う前に、線を引く。
この記事は、吉村 貴成(代表取締役)ほか現場スタッフの知見をもとに作成しています。介護・医療の現場を運営する当事者の視点を反映しています。

介護記録や利用者情報には、氏名や住所だけでなく、病歴や心身の状態といった「要配慮個人情報」が多く含まれます。これらをAIで扱うときは、便利さの前に、個人情報保護と同意の準備が欠かせません。利用者を特定できる情報はそのまま入れず、要点だけを扱う・社内で認めた環境を使う・利用目的と同意を整理する。この土台を先に作ることが、安全なAI活用の条件です。医療・介護の情報には「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」など(いわゆる3省2ガイドライン)が関わり、個人情報保護法の考え方も踏まえる必要があります。この記事は現場が最初に確認すべき点を整理するもので、個別の法的判断は専門家・自治体にご確認ください。(2026-09-07 時点の情報。制度・統計の出典:個人情報保護委員会)

介護現場でのAI活用における個人情報保護とは、病歴や心身の状態といった要配慮個人情報を守りながら、安全にシステムを利用するための取り組みです。利用者を特定できる情報はそのまま入力せず、要点だけを扱うことや、社内で認めた環境を使うことが求められます。現場で守るべきルールを1枚にまとめておくことで、運用しやすくなります。また、利用目的と同意の範囲を整理し、3省2ガイドラインや個人情報保護法の考え方を踏まえることが重要です。

なぜ介護のAI活用は個人情報に注意が要るのか

介護の現場が扱う情報は、機微なものばかりです。誰が・どんな状態で・どんなケアを受けているかは、外に出れば本人の不利益に直結します。AIやクラウドを使うと、情報が事業所の外のサービスを経由することがあるため、通常の紙の記録以上に、扱いのルールが重要になります。

だからこそ、AIの導入は「何ができるか」だけでなく「何を入れないか」から考えます。導入の順番の考え方は介護事業所のAI導入|どの業務から始めるかもあわせてご覧ください。

研修で資料を見ながら学ぶ参加者
研修で資料を見ながら学ぶ参加者

「個人情報」と「要配慮個人情報」

まず言葉を整理します。個人情報は、氏名や住所など特定の個人を識別できる情報です。そのうち、取り扱いに特に配慮が必要なものを「要配慮個人情報」と呼びます。

区分例
個人情報氏名、住所、電話番号、生年月日、顔写真など
要配慮個人情報病歴、心身の状態、障害、要介護度に関する情報など

介護記録は、この要配慮個人情報を多く含みます。要配慮個人情報は、取得や第三者提供に原則として本人の同意が求められるなど、通常の個人情報より慎重な扱いが必要です。AIに渡す情報を考えるときも、この区分を意識します。

記録を見ながら確認し合うスタッフ
介護記録は病歴などの要配慮個人情報を多く含む。まず「何が機微か」を共有する

関わるルールの考え方

医療・介護の情報を扱うときは、次のような枠組みが関わります。細かな要件は改定されるため、必ず最新の公的資料で確認してください。

これらは「AIを使ってはいけない」という趣旨ではなく、「使うなら、目的・範囲・安全管理を整理して使う」という考え方です。ここは法的な判断が絡むため、記事の内容は一般的な整理にとどめ、個別の可否は専門家・自治体に確認するのが安全です。

鍵のかかるキャビネットに書類のファイルをしまう手元
鍵のかかるキャビネットに書類のファイルをしまう手元(AIで生成したイメージです)

同意取得の考え方

要配慮個人情報の取り扱いには、原則として本人の同意が関わります。実務では、契約時の説明や重要事項説明の中で、情報の利用目的をわかる言葉で伝え、同意を得るのが一般的です。

具体的な同意の様式や文言は、事業所の運用とガイドライン、必要に応じて専門家の助言に沿って整えます。オンコールなど機微な記録を扱う場面での注意は訪問看護のオンコール対応をAIでも参考になります。

説明を受けて書類に目を通す様子
利用目的をわかる言葉で説明し、範囲を広げすぎない同意にする

現場でAIを使う前のチェック

難しく考えすぎず、まず現場で守れる小さなルールから始めます。次のような点を、社内で1枚にまとめておくと運用しやすくなります。

社内での使い方のルールづくりは、AI活用の土台です。経営全体でのAIの位置づけは介護経営OSとはをご覧ください。ルールは一度で完璧にしようとせず、線引きを決めて運用しながら育てていきます。

当番の内訳を1枚にまとめた表を確認する看護管理者
当番の内訳を1枚にまとめた表を確認する看護管理者

よくある質問

介護記録をそのままAIに入れても良いですか?

利用者を特定できる情報をそのまま入れるのは避けるのが基本です。氏名や住所などを外して要点だけを扱う、社内で認めた環境を使う、利用目的を整理する、といった準備をしてから使います。判断に迷う場合は、事業所のルールや関連ガイドライン、必要に応じて専門家・自治体に確認してください。

要配慮個人情報とは何ですか?

病歴や心身の状態、障害に関する情報など、取り扱いに特に配慮が必要な個人情報です。介護記録はこうした情報を多く含むため、通常の個人情報より慎重な取り扱いと、原則として本人の同意が求められます。

利用者の同意はどのように取ればよいですか?

利用目的を分かる言葉で説明し、契約時の説明や重要事項の中で同意を得るのが一般的です。AIやクラウドを使う場合は、情報がどう扱われるかを含めて説明します。具体的な様式や範囲は、事業所の運用と関連ガイドライン、必要に応じて専門家の助言に沿って決めてください。

どんな社内ルールを決めておくべきですか?

入れてよい情報・避ける情報の線引き、使ってよいツールや環境、確認者、記録の保存と削除のルールなどです。まず小さく決めて運用しながら見直すのが現実的です。

AIの個人情報対応を相談できますか?

はい。介護の現場を運営しAIを内製してきた立場で、現場で無理なく回るルールづくりの考え方をご相談いただけます。法的な判断そのものは専門家・自治体への確認をおすすめします。LINE・電話でどうぞ。

この記事のまとめ

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