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訪問看護 × AI

看護師のシフト作成が難しい理由|オンコール当番と夜勤の公平配分をAIで整える

ステーションで翌月の勤務表とオンコール当番表を見比べる看護師当番は、勤務時間に写らない。
この記事は、吉村 貴成(代表取締役)ほか現場スタッフの知見をもとに作成しています。介護・医療の現場を運営する当事者の視点を反映しています。

看護師のシフト作成とは、日勤・夜勤といった勤務時間の割り当てに加えて、オンコール(呼び出し待機)の当番を同じ月の中で組み合わせる作業のことです。介護職の勤務表と決定的に違うのは、「働いていないが自由でもない時間」を誰にどれだけ持たせるかを決めなければならない点にあります。当社の関連会社では、施設看護と訪問看護を合わせて月ごとに勤務表と当番表の2枚を作っており、作成そのものより「不公平だと感じさせないこと」に時間がかかっていました。(2026-09-07 時点の情報。制度・統計の出典:厚生労働省「医療」)

シフト表を配った翌日に相談が来る。休みの数は合っているのに、なぜか納得されない。この記事では、その原因を「公平さの測り方」から整理し、AIに任せてよい範囲と、人が決めなければならない範囲を分けて説明します。

なぜ看護師のシフトは介護職より難しいのか

数える対象が2種類あるからです。介護職の勤務表は「日勤・早出・遅出・夜勤」という勤務区分の組み合わせで完結します。看護職はそこにオンコール当番が重なり、勤務表の上では休みに見える日が、実際には携帯を手放せない日になっている。この差が、休日数だけを合わせても不満が残る理由です。

さらに、看護は人数が少ないほど代替が効きません。介護職なら同じ勤務区分に入れる人が複数いても、点滴管理や褥瘡処置の指示に対応できる人は限られます。「入れる人が少ない枠」から先に埋まり、残りのしわ寄せが特定の人に集中する。これが、勤務表を作る側が最も避けたい形です。

勤務表と当番表を並べて翌月の割り当てを確認する看護管理者
勤務表と当番表は別々に作られ、合算して見る仕組みが無いことが多い

公平さは「回数」ではなく「重み」で見る

当番の回数を揃えても公平にはならないということです。同じ1回でも、金曜夜の当番と火曜夜の当番では拘束の重さが違います。連休前、年末年始、地域の行事の前後は呼び出しが増えやすく、当番に当たった人の実感はまったく別物になります。

重みを分けて数える3つの軸

①曜日(平日か、金土日か)②連続(夜勤の翌日に当番が来ていないか)③時期(連休・長期休暇と重なっていないか)。この3つを分けて集計すると、「回数は同じなのに納得されない」という状態の理由を説明しやすくなります。当社では月ごとに当番の内訳を並べて確認するようにしています(件数の計測はしていないため、削減効果としては示しません)。

毎月ぶれずに同じ定義で数え続ける。ここだけは崩せません。定義が月によって変わると、比べられなくなり、結局は感覚の議論に戻ります。ここが、機械に任せると効く部分です。

勤務表を見ながら当番の割り振りを考える白衣の看護師の手元
勤務表を見ながら当番の割り振りを考える白衣の看護師の手元(AIで生成したイメージです)

AIに任せてよいこと・任せてはいけないこと

任せてよいこと

集計と、条件に反している箇所の指摘です。具体的には、夜勤明けに当番が入っていないか、当番の重みが特定の人に寄っていないか、希望休が反映されているか、といった「決められたルールに照らして確認する作業」。人がやると見落とすうえ、時間がかかります。

任せてはいけないこと

最終的な割り当ての決定です。看護職の配置は、その月の利用者の状態、新人の育成状況、家庭の事情といった数値化できない条件を含みます。当社では、機械が出すのは「案」と「ルール違反の指摘」までとし、確定は必ず看護管理者が行うと決めています。AIが勤務を決めた形にすると、責任の所在が消えます。

あわせて、訪問看護のオンコール記録のように、当番中に何が起きたかを残す仕組みがあると、翌月の重み付けを実績で調整できるようになります。

翌月の勤務表を印刷して掲示するステーションの掲示板
確定は人が行い、機械は下ごしらえと点検に徹する

最初にやる3ステップ

いきなりツールを入れる必要はありません。順番は①当番表を勤務表と同じ1枚で見られるようにする ②当番の重みを3軸で数える ③その集計を自動化するです。①と②は表計算でも始められます。詰まるのは決まって「誰も毎月更新しない」ところなので、③の自動化はその後で十分です。

当番の内訳を1枚にまとめた表を確認する看護管理者
当番の重みを3軸で数えると、感覚の議論から抜けられる

関連して、介護職の勤務表づくりや人件費の見える化も、同じ「毎月同じ定義で数える」という考え方でつながっています。

シフトの公平性は離職・定着にも直結するテーマです。人事の視点は介護職の定着率にAIはどう効くかで扱っています。

よくある質問

オンコール当番は労働時間に含まれますか?

待機の実態によって扱いが変わるため、一律には決まりません。呼び出しに応じて実際に対応した時間の扱いと、待機そのものの扱いは分けて整理し、就業規則と併せて確認するのが安全です。

少人数のステーションでも公平にできますか?

人数が少ないほど回数は偏りますが、重みの内訳を開示するだけでも納得感は変わります。隠して調整するより、条件を見せて相談する形が結果的に揉めにくいです。

AIに勤務表を作らせても大丈夫ですか?

案の作成と点検までであれば有効です。ただし確定は看護管理者が行ってください。決定まで任せると、体調や育成状況といった数値化できない条件が抜け落ちます。

希望休はどこまで通すべきですか?

全件を通す前提にすると崩れます。通せる上限を先に決めて公開し、超えた分は理由ではなく順番で調整する形にすると、判断が属人的になりません。

何から始めればよいですか?

勤務表と当番表を1枚で見られるようにすることです。2枚に分かれている限り、重なりも偏りも見えません。

この記事のまとめ
  • 看護師のシフトが難しいのは、勤務時間に加えて「拘束はあるが勤務ではない」オンコール当番を同時に割り当てるため。
  • 公平さは当番の回数ではなく、曜日・連続・時期の3軸の重みで数えると納得感が変わる。
  • AIに任せるのは集計とルール違反の指摘まで。確定は必ず看護管理者が行い、責任の所在を残す。

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