漫然・画一的な訪問看護とは、利用者の状態や看護目標に関係なく、毎回同じ内容の訪問と記録が続いている状態のことです。2026年(令和8年)6月の改定では「適正な訪問看護の推進」として、訪問看護が漫然かつ画一的なものにならないよう看護目標と訪問看護計画に沿って行うことが、改定項目に明記されました。記録の上では、前回の文の写し(コピー&ペースト)が続く記録が、この状態に見えやすくなります。当社は関連会社の訪問看護の記録点検で、写しに見える記録を見つけ、その日の事実を足してもらう形で直しています。
「同じ文が続く記録」を、看護師ごとのカードで直す
NURSE PARTNERは、記録の点検で見つかった所を、利用者・訪問日ごとの確認カードにして看護師のスマホに届けます。足す一文はボタンでコピーして、カイポケに貼るだけです。前の記録は消さずに足します。
対象:医療保険の訪問看護。写しに見える記録の見分け方と直し方について、訪問看護療養費の通知・運営基準をもとに書いています(介護保険の訪問看護は、介護保険の基準を別に確かめてください)。
状態が安定している利用者ほど、記録は似た文になります。毎日の訪問で同じ処置をしていれば、文が似ること自体は自然です。問題になるのは、記録から「その日に何を見て、どう考えたか」が読めなくなったときです。この記事では、改定の中身と、写しに見える記録の直し方を当社の運用からまとめます。
改定で明記された「漫然・画一的」の中身
2026年6月の改定説明(厚生労働省保険局医療課・訪問看護ステーション向け)には、「訪問看護の実施にあたって漫然かつ画一的なものにならないよう看護目標及び訪問看護計画に沿って行うこと」と、記録書等に訪問開始時刻と終了時刻等を記載することを明記する、とあります。
また、留意事項の通知では、訪問の提供にあたって目標達成の程度とその効果を評価し、その内容を記録書に記録することが求められています。つまり、計画に沿って行い、その日の状態を書き、目標に対してどうだったかを評価する。この流れが記録から読めることが、漫然・画一的でないことの裏付けになります。改定の文は訪問看護の行い方についてのもので、記録の写しは、その状態に見えやすい形のひとつです。

写しに見える記録の3つの形
当社の点検で、写しに見えるとして看護師に届けている形は、主に次の3つです。
| 形 | 例 | 読めなくなること |
|---|---|---|
| S・O・A・Pのどこかが毎回まったく同じ | 「状態変わりなし。経過観察」が何日も続く | その日に何を観察したか |
| バイタルは毎回違うのに、評価だけ同じ | 数値が動いているのにAが同じ文 | 数値の変化をどう判断したか |
| 計画の目標と記録の中身がつながらない | 計画は「褥瘡の改善」なのに記録に創の観察がない | 計画に沿って行ったか |
3つ目は、写しというより計画とのずれです。計画に書いた目標を、記録で一度も見ていない状態は、運営指導でも説明しにくくなります。
同じ文でも問題にならない所、なる所
同じ文がすべて悪いわけではありません。当社の点検では、次のように分けています。
- 問題にしない:毎回同じ処置の手順の説明、定型の安全確認、使っている物品の名前など、事実として同じもの。
- 確認する:状態の観察(O)と評価(A)が、日をまたいでまったく同じ文になっているもの。
- 必ず届ける:数値や本人の発言が変わっているのに、評価が前回のまま、計画の目標に触れていないもの。
写しを全部禁止すると、看護師は記録に時間がかかるだけで、中身は良くなりません。見てほしいのは観察と判断の所だけ、と伝えるほうが直す手が早く動きます。評価の書き方はSOAPのA(評価)が空になる理由と、目標達成の評価の書き方で詳しく書いています。

直すときは「その日の事実」を1文足す
点検で見つかった記録は、書き直さず、追記の日付と記載者を入れて、その日の事実を1文足す決まりにしています。たとえば「本人より『昨夜はよく眠れた』と発言あり。前回より表情が明るい」のように、その日にしか書けない観察を足します。
観察していないことは書き足しません。覚えていない日の記録に、それらしい文を足すことはしません。思い出せない場合は、足せることだけを足し、次の訪問からの書き方を変えます。

記録の前に、計画を見直す合図にする
同じ利用者で写しに見える記録が続くときは、記録の書き方より先に、看護計画が今の状態に合っているかを見直す合図にしています。状態が落ち着いて目標を達成しているなら、目標を書き換える時期かもしれません。同じ文や同じ計画が続くことだけで漫然・画一的と決まるわけではありませんが、今の状態と看護目標に沿った訪問になっているかを確かめ、その評価をもとに計画の見直しを考えます。
計画書と報告書の作り方は訪問看護の計画書・報告書をAIで下書きするで扱っています。なお、2026年6月の改定で、医療保険の訪問看護計画書と報告書は書面でも署名・押印を求めないことになり、様式例から押印欄が削除されました。押印がないことを不備として扱わないようにしてください。
自社で点検するときの手順
①利用者ごとに、OとAの文を日付順に並べる——同じ文が何日続くかが一目で分かります。②続いている所だけ、計画の目標と見比べる——目標に触れていない記録が続いていないか。③看護師には「足す1文」を具体的に届ける——「写しをやめて」ではなく「その日の本人の様子を1文」と伝えます。④続く利用者は計画の見直しへ。点検から直し終えるまでの全体の流れは、訪問看護の記録チェックを「直す」まで回す方法で書いています。
よくある質問
訪問看護の「漫然・画一的」とは、どういう状態ですか?
今の状態や看護目標にかかわらず、同じ訪問と同じ記録がくり返されている状態を指します。記録の上では、観察(O)と評価(A)がその日の状態を映しているかを見直すと、当てはまるかどうかが分かりやすくなります。
状態が安定している利用者の記録が似てしまうのは、いけないことですか?
似ること自体は自然です。当社は、処置の手順や物品のように事実として同じものは問題にせず、観察(O)と評価(A)が日をまたいでまったく同じ文になっている所だけを確認しています。
写しに見える記録を見つけたら、書き直してもらうのですか?
書き直さず、追記の日付と記載者を入れて、その日の事実を1文足してもらいます。観察していないことは書き足しません。足せない日は、次の訪問からの書き方を変えます。
同じ文が続く記録は、何の合図になりますか?
当社は、看護計画が今の状態に合っているかを見直す合図にしています。目標を達成して状態が落ち着いているなら、目標を書き換える時期かもしれません。
計画書に押印がないのは不備ですか?
2026年6月の改定で、医療保険の訪問看護計画書と報告書は書面でも署名・押印を求めないこととされ、様式例から押印欄が削除されました。押印がないことを不備として扱う必要はありません。(2026-10-14 時点の情報。出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」・近畿厚生局「訪問看護記録書等の『記録』に関する規定について」)
- 2026年6月改定で、漫然かつ画一的にならないよう看護目標と訪問看護計画に沿って行うことが改定項目に明記された。目標に対する評価の記録も求められている。
- 見るのは観察(O)と評価(A)の写し、数値が動いているのに同じ評価、計画の目標とつながらない記録。処置の手順など事実として同じものは問題にしない。
- 直すときは書き直さず、その日の事実を1文足す。同じ文が続く利用者は、計画を見直す合図にする。
写しに見える記録を、無理なく直したい方へ
NURSE PARTNERの画面をお見せしながら、確認カードで「足す1文」を届ける流れをご案内します。利用者さんの名前や記録の中身は送らないでください。


