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訪問看護の記録

SOAPのA(評価)の書き方|訪問看護の目標達成の評価

ベッドに横になった高齢の女性に顔を近づけて話を聞く訪問看護師(関連会社3SMILEの訪問看護の撮影より)観察から、どう判断したか。
監修:生嶋(関連会社3SMILE 統括部長・救急・ICU・訪問看護の経験)。この記事は、生嶋の監修のもと、吉村 貴成(株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役)ほか、関連会社の訪問看護の記録点検に関わる現場スタッフの知見をもとに、SOAPのAに書く評価をまとめています。SOAPのAに書く評価の制度の部分は、厚生労働省・厚生局の公開資料で確かめています(2026-10-14)。

SOAPのA(評価)とは、S(本人の訴えや発言)とO(観察した事実や測った値)をもとに、看護師がその日の状態をどう判断したかを書く欄のことです。厚生労働省の通知は、訪問看護の提供にあたって目標達成の程度とその効果を評価し、その内容を訪問看護記録書に記録するよう求めています。SOAPという形式そのものは通知で決められた様式ではありませんが、Aの欄は、この「評価」が記録から読めるかどうかを左右します。この記事では、Aが空、またはOの言い換えだけになっている記録を例に、評価の書き方を考えます。

Aが足りない記録に、足す一文をカードで届ける

NURSE PARTNERは、記録の点検で「観察に対する判断が書かれていない」記録を見つけ、看護師ごとの確認カードにして届けます。話したメモからSOAPの下書きを作る機能もあり、使うかどうかは看護師が決めます。

対象:医療保険の訪問看護。SOAPのAに書く評価について、訪問看護療養費の通知・運営基準をもとに書いています(介護保険の訪問看護は、介護保険の基準を別に確かめてください)。

訪問看護の記録で、S・O・Pは書けているのにAだけが薄い。これはとてもよくある形です。Aは看護師の判断そのものなので、「何を書けば正解か」が分かりにくい欄でもあります。この記事では、通知が求める評価の中身と、Aに書く要素、当社の点検で使っている書き方の例をまとめます。

通知が求めているのは「目標に対する評価」

留意事項の通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)では、訪問看護の提供にあたって目標達成の程度及びその効果等について評価を行い、その内容を訪問看護記録書に記録することが求められています。毎回の訪問の記録事項としては、心身の状態、病状、家庭などでの看護の状況、実施した内容などが挙げられています。

通知が求めているのは「SOAPのAを書くこと」ではなく、看護目標に対してどうだったかの評価です。SOAPで記録している事業所では、その評価を書く場所がAになる、という関係です。2026年6月の改定でも、看護目標と訪問看護計画に沿って行うことが改定項目に明記されました。

ベッドに横になった高齢の女性に顔を近づけて話を聞く訪問看護師
Aは「その日の観察から、どう判断したか」を書く欄(関連会社3SMILEの訪問看護の撮影より)

Aが空になる3つの理由

当社の点検で、Aが空や薄くなっている記録を見ると、理由はおおむね次の3つでした。

3つ目がいちばん根本です。目標が手元にないまま評価を書こうとすると、どうしてもOの言い換えになります。

Aに書く3つの要素

Aを書くときは、次の3つの観点が役に立ちます。どれか1つを入れれば通知の要件を満たす、という意味ではありません。目標達成の程度と効果の評価が記録から読めるかを、最後に確かめます。

要素中身短い例
判断SとOから、その日の状態をどう見たか「血圧は前回と同じ範囲で、症状の訴えもなく安定」
目標との比較計画の看護目標に対して、近づいたか・離れたか「目標の『夜間よく眠れる』は、本人の発言から達成に近い」
効果実施したケアがどう効いたか「体位変換の工夫で、発赤は前回より小さい」

「変わりなし」と書きたいときも、何と比べて変わりないのかを書けば判断になります。「前回と比べて」「計画の目標に対して」のどちらかを添えるだけでも、Aの読め方が変わります。

机で記録用紙に書き込む看護師
看護師が記録を書いているところ(関連会社3SMILEの施設で撮影)

書き方の例(前と後)

点検で看護師に届けている「足す一文」の考え方を、架空の例で示します。

前後(足した一文)
A:著変なし。A:著変なし。【追記】本人より「食事はほとんど食べられた」と発言あり、体重も前回と同じで、計画の目標の「食事量の維持」はできていると判断。
A:(空欄)A:【追記】【その日に確かめたSとO】から、【看護目標の達成の程度・ケアの効果についての判断】。(このあとのPに【その判断にもとづく対応・報告の方針】)

例の文や【 】の型は書き方の見本です。実際に足すときはその日に観察した事実だけを使い、見本の文や値をそのまま使うことはしません。観察していない数値や、聞いていない発言も足しません。前の記録は消さずに、追記の日付と記載者を入れて足します。

看護主任の画面に、観察した事に対する判断が書かれていませんというカードが並んだデモ画面
主任の画面(デモ)。「観察した事に対する判断が書かれていません」のカードが看護師ごとに並ぶ(名前はすべて架空)

Aから計画の見直しにつなげる

Aに「目標は達成できている」と何回か続いたら、それは計画を見直す合図です。同じ計画が続くことだけで漫然・画一的と決まるわけではありませんが、今の状態と目標に合っているかを確かめます。逆に「目標から離れている」が続くときは、計画の手段を変える時期です。

Pの欄(次にすること)は、Aの判断から出てくるものです。Aが空だと、Pも毎回同じになりがちです。写しに見える記録の直し方は「漫然・画一的」と言われない訪問看護記録に書いています。

点検で見ている所

当社の記録点検でAについて見ているのは、①Aが空でないか、②Oをそのまま繰り返しただけになっていないか、③数値や発言が変わっているのにAが前回と同じ文でないか、の3つです。点検の結果はカードで看護師に届け、看護師が事実を確かめてから足します。

話したメモからSOAPの下書きを作る機能も使えますが、下書きは下書きで、Aの判断を決めるのは看護師です。AIで下書きするときの決まりはSOAPの下書きにAIを使うときの決まりにまとめました。AIの下書きの誤りの型は介護記録AI自動化|看護SOAP300件検証で扱っています。

よくある質問

訪問看護の記録で、SOAPのAには何を書けばよいですか?

SとOをもとにした、その日の状態の判断です。書くときは、判断・看護目標との比較・実施したケアの効果の3つの観点が役に立ちます。通知が求めているのは、目標達成の程度とその効果の評価を記録することなので、それが読めるかを最後に確かめます。

SOAP形式は通知で決められた様式ですか?

決められた様式ではありません。通知が求めているのは記録事項(心身の状態、実施した内容、目標に対する評価など)で、SOAPはそれを書くための形式の1つです。SOAPで記録している場合、評価を書く場所がAになります。

状態が変わらない日は、Aに「変わりなし」と書けばよいですか?

何と比べて変わりないのかを添えると判断として読めます。「前回と比べて」「計画の目標に対して」のどちらかを書き、その根拠になった発言や観察を1つ入れるのがおすすめです。

点検でAが足りないと言われたら、書き直してよいですか?

当社は書き直さず、追記の日付と記載者を入れて、その日に観察した事実をもとにした判断を足してもらっています。観察していない数値や聞いていない発言は足しません。

AIのSOAP下書きに、Aまで任せてよいですか?

当社では、下書きは下書きで、Aの判断を決めるのは看護師という決まりにしています。AIの下書きを使うかどうかも看護師が決めます。(2026-10-14 時点の情報。出典:近畿厚生局「訪問看護記録書等の『記録』に関する規定について」(保発0305第19号 第4の4・第4の6)・厚生労働省保険局医療課 令和8年度改定資料)

この記事のまとめ

Aの書き足しを、看護師の負担にしないために

NURSE PARTNERの画面をお見せしながら、確認カードとSOAPの下書きの流れをご案内します。利用者さんの名前や記録の中身は送らないでください。

記録の「直す」を、看護師ごとの確認カードと主任の画面で回す。