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訪問看護の記録

SOAPの下書きにAIを使うときの決まり|訪問看護の記録

訪問の合間に車の中でスマートフォンを見る訪問看護師(AIで生成したイメージ)下書きは下書き。決めるのは看護師。
監修:生嶋(関連会社3SMILE 統括部長・救急・ICU・訪問看護の経験)。この記事は、生嶋の監修のもと、吉村 貴成(株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役)ほか、関連会社の訪問看護の記録点検に関わる現場スタッフの知見をもとに、SOAPの下書きAIの決まりをまとめています。SOAPの下書きAIの決まりの制度の部分は、厚生労働省・厚生局の公開資料で確かめています(2026-10-14)。

SOAPの下書きAIとは、訪問のあとに看護師が話したり打ったりしたメモをもとに、AIが訪問看護記録のS・O・A・Pの下書きを作る仕組みのことです。便利な反面、利用者の情報をAIに送ること、メモにないことをAIが書き足すこと、点検で指摘される文をAIが作ってしまうことの3つが心配の種になります。当社は関連会社の訪問看護で使う下書きAIに、名前を伏せて送る・メモにないことは書かない・下書きは下書きという決まりを置き、記録の点検と同じ物差しを貼る前に当てています。

話したメモから下書き、名前はAIに送らない

NURSE PARTNERのSOAP下書きは、AIへ送る前に利用者の名前・フリガナを伏せます。下書きの決まりは看護主任がふつうの言葉で変えられ、使うかどうかは看護師が決めます。カイポケへ自動で書き込むことはしません。

記録の下書きにAIを使う事業所は増えています。この記事では、どの製品を選ぶかではなく、下書きAIを使うときに事業所として決めておくことを、当社が実際に置いている決まりからまとめます。AIの下書きの誤りの型は介護記録AI自動化|看護SOAP300件検証に、個人情報の考え方の全体は介護でAIを使う前の個人情報保護と同意取得に書いています。

決まり1:名前とフリガナは伏せて送る

当社の下書きAIは、AIへ送る前に利用者の名前とフリガナを伏せます。看護師の画面には「話すだけでOK。名前は言わないでね」と表示し、メモの中でも名前を言わないように案内しています。

また、AIを使う量には日ごと・月ごとの上限を置いています。思わぬ使い方で費用や送信量が膨らまないようにするためです。名前を伏せても、病状などの記録の中身は送られます。何を送ってよいかは、事業所の個人情報の取り扱いの決まりと合わせて決めておきます。記録や名簿、書類の原本は会社ごとに区切って保存し、ほかの会社からは見えないようにしています。

記録の下書きAIの画面に、名前はAIには送りませんという注意と利用者を選ぶボタンが並んだデモ画面
下書きの画面(デモ)。利用者を選んでも、名前はAIに送らない(名前はすべて架空)

決まり2:メモにないことは書かない

AIの下書きでいちばん怖いのは、もっともらしい文の中に、看護師が観察していないことが混ざることです。当社の下書きAIは、メモに書かれた値や事実だけを使い、推測で埋めない決まりにしています。メモが薄いときに「異常なし」で補うこともしません。

代わりに、メモが薄いときは下書きの外に「メモに一言足してください」と聞き返します。たとえば、見ておくべき点を見ていれば1語足してほしい、という形です。足すかどうかは看護師が決めます。

決まり3:前の記録はAIに見せない

前回の記録をAIに見せれば、続きの文を作りやすくなります。それでも当社は前の記録をAIに見せない決まりにしました。別の利用者の記録が混ざる、前回の文をそのまま写す、といった事故を防ぐためです。2026年6月の改定は、訪問看護を看護目標と計画に沿って行い、漫然かつ画一的なものにしないことを示しています。前の記録を見せない決まりは、それとは別に、記録の取り違えや混入を防ぐための当社のルールです。

前から続いている所見は、看護師がメモに「続いている」と書けば、下書きに入ります。続きの判断は看護師が持つ、という分け方です。写しに見える記録の直し方は「漫然・画一的」と言われない訪問看護記録で書いています。

訪問の合間に車の中でスマートフォンを見る訪問看護師(AIで生成したイメージ)
訪問の合間に話したメモから下書きを作る。名前は言わない(AIで生成したイメージ)

決まり4:貼る前に、点検と同じ物差しを当てる

当社では、下書きAIで作った記録が、同じ会社の月ごとの記録点検で指摘される、という食い違いが心配されました。そこで、貼る前の下書きに、記録の点検と同じ物差しを当てています。

貼る前に見ること点検のどの型を防ぐか
S・O・A・Pが1組になっているか(2組になっていないか)記録の形の崩れ
Aに判断の言葉があるか(包括の言葉だけでないか)評価が書かれていない
Pが「計画に沿って継続」だけになっていないか定型のP
事故や報告について「した/していない(理由)」が選ばれているか報告の記載漏れ
あり得ない値でないか入力の誤り

当社は、架空の利用者と架空のメモを使って、値を落とさないか、書かれていないことを作らないかを試しています。そのうえで分かったのは、カイポケの欄に直接打つ値や、実際の訪問時刻、主治医に報告したかどうかの事実は、AIでは決められないということです。下書きAIの精度ではなく、看護師の入力の事実で決まる所が残ります。評価の書き方はSOAPのA(評価)の書き方にまとめています。

事務所のパソコンで入力する職員
パソコンで記録を入力する職員(関連会社3SMILEの施設で撮影)

決まり5:下書きは下書き、決めるのは看護師

下書きを使うかどうかは看護師が決めます。使う場合も、看護師が読み、事実と違う所を直してから、自分でカイポケに貼ります。カイポケへ自動で書き込むことはしません。記録の正本はカイポケにあり、だれが書いたかが分かる形を崩さないためです。

頻回訪問の理由の下書きも同じ扱いです。特別訪問看護指示書の期間中に頻回に訪問する理由は、その日の状態から看護師が書くもので、AIは言葉の整理を手伝うだけです。指示書の期間の扱いは特別訪問看護指示書の期間を記録のたびに探さないに書きました。

決まりは主任がふつうの言葉で変える

下書きの決まり(どんな言葉を使うか、何を必ず聞き返すか)は、事業所ごとに違ってよいものです。当社では、看護主任が目次から決まりを選び、相談しながらふつうの言葉で変えられるようにしています。変えた決まりはすぐに効きます。現場の言葉に合わせて決まりを直せることが、下書きAIを使い続けるための条件だと考えています。画面の言葉を現場の声で直した経緯はAI指摘画面をどう直したかにあります。

よくある質問

訪問看護の記録をAIで下書きするとき、利用者の名前を送ってもよいですか?

当社は送りません。AIへ送る前に利用者の名前とフリガナを伏せ、看護師の画面にも名前を言わないよう案内しています。ただし、名前を伏せる機能があることと、送る情報の扱いが法令上問題ないことは別の話です。事業所で決めるときは、医療・介護の個人情報のガイダンスと、使うサービスの取り扱いを確かめてください。

AIの下書きに、観察していないことが混ざりませんか?

当社の下書きAIは、メモに書かれた値や事実だけを使い、推測で埋めない決まりにしています。メモが薄いときは「異常なし」で補わず、メモに一言足すよう聞き返します。架空のメモを使って、書かれていないことを作らないかを試しながら運用しています。

前回の記録をAIに見せたほうが、良い下書きになりませんか?

続きの文は作りやすくなりますが、当社は見せない決まりにしています。別の利用者の記録が混ざる事故や、前回の文の写しを防ぐためです。続いている所見は、看護師がメモに「続いている」と書けば下書きに入ります。

AIの下書きを使えば、記録の点検で指摘されなくなりますか?

形の崩れや評価の言葉の有無など、1回の記録で閉じる型は、貼る前に点検と同じ物差しを当てることで減らせます。ただし、実際の訪問時刻や主治医に報告したかどうかなど、看護師の入力の事実で決まる所は、下書きAIでは決められません。

AIの下書きは、カイポケに自動で入りますか?

NURSE PARTNERでは自動で入れません。看護師が読んで直し、自分でコピーしてカイポケに貼ります。使うかどうかも看護師が決めます。(2026-10-14 時点の情報。当社の下書きAIの決まりと、架空の利用者・架空のメモでの試験(2026年9月)より)

この記事のまとめ

下書きAIを、決まりを置いて使いたい方へ

NURSE PARTNERの画面をお見せしながら、SOAPの下書きと決まりの変え方、確認カードの流れをご案内します。利用者さんの名前や記録の中身は送らないでください。

記録の「直す」を、看護師ごとの確認カードと主任の画面で回す。