訪問看護の身体的拘束の記録とは、緊急やむを得ず身体的拘束などを行った場合に、指定訪問看護の運営基準(平成12年 厚生省令第80号 第15条)が記録するよう定めている事項のことです。省令は、身体的拘束などを行う場合には「その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由」を記録しなければならないとしています。当社は関連会社の訪問看護の記録点検で、拘束に当たる語が記録に出てきたときに、この3点がそろっているかを確かめています。
記録の点検で見つかった所を、主任と看護師に分けて届ける
NURSE PARTNERは、記録の決まりに沿って点検し、看護師が直せる所は確認カードに、主任が確かめる所は主任の画面に分けて届けます。足す一文はコピーしてカイポケに貼るだけで、前の記録は消しません。
対象:医療保険の訪問看護。身体的拘束の記録の3点について、訪問看護療養費の通知・運営基準をもとに書いています(介護保険の訪問看護は、介護保険の基準を別に確かめてください)。
訪問看護の記録で身体的拘束が出てくる場面は多くありません。だからこそ、出てきたときに何を書けばよいかがあいまいになり、運営指導で説明できない記録になりがちです。この記事では、省令の原文に沿って記録の3点を整理し、当社の点検の流れをまとめます。拘束を行ってよいかどうかの判断は、事業所と主治医、関係者で行うもので、この記事はその判断を勧めるものではありません。
省令が求める記録は3点
厚生省令第80号 第15条は、指定訪問看護の提供にあたって、利用者または他の利用者などの生命または身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならないとしています。そのうえで、行う場合に記録すべきことを定めています。
| 記録の項目 | 具体に書くこと |
|---|---|
| ①態様及び時間 | 何を(例:ミトン、抑制帯、4点柵など)、どこに、いつからいつまで(始めた時刻と外した時刻) |
| ②その際の利用者の心身の状況 | 拘束しているときの皮膚・循環・精神の状態、苦痛の有無 |
| ③緊急やむを得ない理由 | なぜ拘束が必要だったのか |

3要件は「記録項目」ではなく判断の枠組み
身体的拘束では、「切迫性・非代替性・一時性」の3要件がよく知られています。
- 切迫性:利用者本人や他の利用者の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高い
- 非代替性:身体的拘束以外に代わりの方法がない
- 一時性:必要最小限の時間に限られる
当社では、この3要件を拘束を行ってよいかの判断の枠組みと位置づけ、省令が求める記録項目そのものとは分けて考えています。省令が記録を求めるのは上の3点で、そのうち③「緊急やむを得ない理由」を説明するときに、3要件に沿って書く、という関係です。
「態様及び時間」を最初に確かめる
当社が点検の決まりを見直したとき、反省点になったのがここです。当初、拘束の記録を直すための文の型が、3要件と同意のことだけを求めていて、省令が最初に挙げる「態様及び時間」を求めていませんでした。理由はよく書けていても、何を・いつからいつまで行ったかが書かれていない記録になってしまいます。
今は、①態様及び時間を最初に確かめる順番にしています。始めた時刻と外した時刻が分かれば、一時性(必要最小限の時間か)も記録から説明しやすくなります。

点検で拾う語と、そのあとの流れ
当社の記録点検では、記録の中に「ミトン」「抑制」「ベッド柵」「センサーマット」「Y字帯」「4点柵」「ベルト」などの語が出てきたときに、3点がそろっているかを確かめます。語が出てきたからといって、すぐに拘束と決めるわけではありません。たとえばセンサーマットは、使い方によって扱いが変わります。
3点が足りない記録は、看護師にカードで届けるだけでなく、主任の確認に回します。拘束の判断や、事業所としての記録の扱いは、看護師ひとりで決めるものではないためです。足すときは前の記録を消さず、追記の日付と記載者を入れて、その日の事実だけを書きます。点検の結果を主任と看護師に分けて届ける流れは訪問看護の記録チェックを「直す」まで回す方法に書いています。

本人・家族への説明の扱い
本人や家族への説明と同意は、実務の上でとても大切です。ただし、省令第15条の記録項目としては明記されていません。当社では、「省令が求めている」とは書かず、事業所のルールとして説明と同意の経過を残すと分けて扱っています。根拠の強さを混ぜないことで、看護師にとっても「何が必須で、何が事業所の決まりか」が分かりやすくなります。
施設で拘束を減らす取り組みとの関係
住宅型有料老人ホームなどに訪問している場合、施設の側にも身体的拘束を減らすための指針や委員会などの決まりがあることがあります。訪問看護の記録は、施設の記録とは別に、事業所として3点を残す必要があります。施設の職員と情報を分け合うときは、だれが何を記録するかを先に決めておくと、記録の抜けを防げます。事故が起きた場合の記録と連絡先は訪問看護の事故の記録と連絡先|医療保険と介護保険で違うにまとめています。
よくある質問
訪問看護で身体的拘束を行った場合、記録に何を書く必要がありますか?
何を・いつからいつまで行ったか(態様及び時間)、そのときの心身の状態、なぜ必要だったか(緊急やむを得ない理由)の3点です。根拠は厚生省令第80号 第15条です。
切迫性・非代替性・一時性の3要件は、記録に必要ですか?
3要件は、拘束を行ってよいかを判断する枠組みです。省令が記録を求めているのは上の3点で、そのうち「緊急やむを得ない理由」を説明するときに3要件に沿って書くと、判断の経過が記録から追えます。
3点のうち、点検で特に気をつけているのは何ですか?
「態様及び時間」です。当社が点検の基準を見直したとき、訂正文の型がこの項目を求めていなかったことが分かりました。理由は書けていても、何を行ったか、始めた時刻と外した時刻が書かれていないと、記録としては足りません。今は最初にここを確かめる順番にしています。
本人や家族の同意は、省令で記録が求められていますか?
省令第15条の記録項目には明記されていません。実務の上では大切なので、当社は事業所のルールとして説明と同意の経過を残し、「省令が求めている」とは書かないように分けています。
記録にセンサーマットと書いてあれば、拘束に当たりますか?
語が出てきただけで拘束とは決めません。使い方によって扱いが変わるため、当社は点検で語を拾ったうえで、主任が記録の内容を確かめています。判断に迷う場合は、事業所の方針と自治体の示す考え方を確認してください。(2026-10-14 時点の情報。出典:指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)第15条)
- 省令第15条が求める記録は「態様及び時間」「その際の心身の状況」「緊急やむを得ない理由」の3点。
- 切迫性・非代替性・一時性は判断の枠組みで、理由を説明するときに使う。態様及び時間(何を・いつからいつまで)を最初に確かめる。
- 拘束に当たる語を拾ったら、看護師だけでなく主任の確認に回す。説明と同意は事業所のルールとして分けて残す。
記録の点検を、主任と看護師の分担で回したい方へ
NURSE PARTNERの画面をお見せしながら、確認カードと主任の画面の流れをご案内します。利用者さんの名前や記録の中身は送らないでください。


