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訪問看護の記録

訪問看護の事故の連絡先と記録|医療保険と介護保険の違い

ベッドから起き上がる高齢の女性の肩を支える訪問看護師(関連会社3SMILEの訪問看護の撮影より)起きたことと、したことを記録へ。
監修:生嶋(関連会社3SMILE 統括部長・救急・ICU・訪問看護の経験)。この記事は、生嶋の監修のもと、吉村 貴成(株式会社SECRET MEDICINE 代表取締役)ほか、関連会社の訪問看護の記録点検に関わる現場スタッフの知見をもとに、事故の記録と連絡先をまとめています。事故の記録と連絡先の制度の部分は、厚生労働省・厚生局の公開資料で確かめています(2026-10-14)。

訪問看護の事故の記録と連絡先とは、訪問看護の提供中に事故が起きたときに、運営基準が事業者に求める連絡・措置と、その経過を記録に残すことです。医療保険の訪問看護(平成12年 厚生省令第80号 第28条)では、全国健康保険協会・後期高齢者医療広域連合・健康保険組合と、利用者の家族等に連絡し、必要な措置を講じるとされています。介護保険の訪問看護(平成11年 厚生省令第37号 第37条)では、市町村・家族・居宅介護支援事業者等への連絡です。同じ「訪問看護の事故」でも、保険の区分で連絡先が違います。当社は関連会社の訪問看護の記録点検で、事故が記録から読み取れるときに、発生・措置・連絡の記載がそろっているかを確かめています。

記録に「結果だけ」が出てきた訪問を、主任の画面で知らせる

NURSE PARTNERは、記録の決まりに沿って点検し、看護師が直せる所は確認カードに、主任が確かめる所は主任の画面に分けて届けます。事実が分かってから足す一文はコピーしてカイポケに貼る形で、元の記録はそのまま残ります。

転倒、誤薬、誤嚥、やけど、チューブの自己抜去。訪問看護の事故は、起きたときの対応も大切ですが、あとから経過を説明できる記録になっているかで、事業所としての信頼が変わります。この記事では、医療保険と介護保険の連絡先の違いと、記録に残すことを、省令の原文と当社の点検の決まりからまとめます。

医療保険と介護保険で、連絡先が違う

医療保険の訪問看護介護保険の訪問看護
根拠厚生省令第80号 第28条厚生省令第37号 第37条(訪問看護に準用)
連絡先全国健康保険協会・後期高齢者医療広域連合・健康保険組合・利用者の家族等市町村・利用者の家族・居宅介護支援事業者等
報告の期限条文に定めはない自治体ごとに様式・期限が決まっている
共通必要な措置を講じる/賠償すべき事故は損害賠償を速やかに行う

見落としやすいのは、医療保険の条文には市町村が含まれていないことです。介護保険の感覚で市町村だけに連絡し、保険者への連絡が抜けることがないよう、保険の区分ごとに手順を分けておきます。介護保険側の期限や様式は自治体で違うため、事業所のある自治体の案内を確かめてください。

ベッドから起き上がる高齢の女性の肩を支える訪問看護師
起きたことと、したことを、その日のうちに記録へ(関連会社3SMILEの訪問看護の撮影より)

訪問看護記録書に残す4つのこと

当社の点検では、事故が記録から読み取れるときに、次の4つがそろっているかを見ています。これは記録を見直すときの観点で、省令が記録項目として並べたものそのものではありません。

#記録すること根拠・考え方
1発生の事実(いつ・どこで・何が起きたか)第28条の「事故が発生した場合」の特定
2利用者の状態と、行った措置第28条の「必要な措置を講じなければならない」
3家族等への連絡(日時・相手・内容。していなければ理由)第28条の「家族等に連絡」
4主治医への報告(日時・内容。していなければ理由)省令第28条の列挙ではない。医療上の必要から当社が点検している項目

保険者や市町村への連絡は事業者(ステーション)の義務です。連絡していない理由を書いても、法令で求められる連絡の代わりにはなりません。保険者等への連絡は、事故報告書があるかだけでなく、実際に連絡した日時・相手・内容まで、主任と事務が確かめます。

原因や経過が記録から分からないとき

点検で特に注意しているのが、内出血や傷などの所見が記録に出てくるのに、原因や経過が記録から分からない形です。所見だけで事故と決めることはできませんが、事故だった場合は連絡や措置が行われたかを追えなくなります。

当社はこの形を見つけたら、事故と決めつけずに、主任に事実を確かめてもらうことにしています。何があったのか、ほかの職員が知っているのか、家族や主治医に伝わっているのかを主任が確かめてからでないと、記録の直し方が決まらないためです。足すときは前の記録を消さず、追記の日付と記載者を入れて、確かめられた事実だけを書きます。分からないことは推測で補いません。

看護主任の画面に、のこりのカードの数と、14日以上そのままのカードの数が表示されたデモ画面
主任の画面(デモ)。長くそのままのカードから確かめる(名前はすべて架空)

保険の区分が分からないときの書き方

記録だけでは、その訪問が医療保険か介護保険か分からないことがあります。当社の決まりでは、区分が判別できないときは連絡先を断定しません。「保険の区分を確かめたうえで、医療保険なら保険者へ、介護保険なら市町村へ」と両方を書いて、主任と事務に確かめてもらいます。推定で連絡先を決めると、報告先を誤るおそれがあるためです。

事務所で書類を見ながら話す職員2人
職員どうしで記録や予定を確かめ合うところ(関連会社3SMILEの施設で撮影)

同じ利用者で保険の区分が混ざる場合

同じ利用者でも、月の中で医療保険の訪問と介護保険の訪問が混ざることがあります。たとえば、ふだんは介護保険で訪問していて、特別訪問看護指示書が出た期間だけ医療保険になる場合です。当社の点検でも、同じ利用者の中で区分が混ざっている方がいました。

こうした方に事故が起きたとき、どちらの手順で報告するかを事前に決めておくと、その場で迷いません。事故の起きた訪問の区分で決まる、という原則を事業所の手順書に書いておくのがおすすめです。指示書の期間の扱いは特別訪問看護指示書の期間(14日・診療日から)を記録のたびに探さないに書きました。

記録の保存期間

医療保険の指定訪問看護の提供に関する記録は、省令第80号 第30条で完結の日から2年間保存することとされています(介護保険は別に確かめます)。保険者や自治体によって、より長い期間を定めている場合もあります。事故の記録と事故報告書は、あとで照らし合わせられるように同じ利用者・同じ日付で探せる形にしておくと、運営指導のときに説明しやすくなります。身体的拘束の記録は訪問看護で身体的拘束を記録するときの3点、記録チェック全体は訪問看護の記録チェックを「直す」まで回す方法にまとめています。

よくある質問

医療保険の訪問看護で事故が起きたら、どこに連絡しますか?

連絡先は保険者(協会けんぽ・後期高齢者医療広域連合・健保組合)と家族等で、あわせて必要な措置をとります(厚生省令第80号 第28条)。この条文には市町村は出てきません。

介護保険の訪問看護で事故が起きたら、どこに連絡しますか?

厚生省令第37号 第37条(訪問看護に準用)では、市町村・利用者の家族・居宅介護支援事業者等への連絡とされています。報告の様式や期限は自治体ごとに決まっているので、事業所のある自治体の案内を確かめてください。

訪問看護記録書には、事故について何を書けばよいですか?

当社の点検では、発生の事実(いつ・どこで・何が)、利用者の状態と行った措置、家族等への連絡(日時・相手・内容)、主治医への報告(日時・内容)の4つを見ています。連絡や報告をしなかった場合は、その理由を書きます。

記録に内出血などの所見だけがあり、原因が分からない場合は?

所見だけで事故と決めず、主任に事実を確かめてもらいます。確かめられた事実だけを、前の記録を消さずに追記し、分からないことは推測で補いません。

医療保険の訪問看護の記録は何年保存しますか?

医療保険の指定訪問看護については、厚生省令第80号 第30条で、記録を完結の日から2年間保存するとされています。保険者や自治体によって、より長い期間を定めている場合もあります。介護保険の保存期間は、介護保険の基準と自治体の定めで別に確かめてください。(2026-10-14 時点の情報。出典:平成12年厚生省令第80号 第28条・第30条/平成11年厚生省令第37号 第37条)

この記事のまとめ

主任が確かめる記録を、見落とさない仕組みに

NURSE PARTNERの画面をお見せしながら、確認カードと主任の画面の流れをご案内します。利用者さんの名前や記録の中身は送らないでください。

記録の「直す」を、看護師ごとの確認カードと主任の画面で回す。