訪問看護の残薬確認とは、利用者が薬をきちんと飲めているか、飲み忘れや飲み残しの薬がどれだけあるかを訪問のときに確かめ、記録に残すことです。2026年(令和8年)6月の改定では、訪問看護の提供にあたって服薬状況(残薬の状況を含む)を把握することが明確にされ、服薬の状況を主治医だけでなく薬局にも伝えることが望ましいことも示されました。当社は関連会社の訪問看護の記録点検で、服薬に触れた記録に、残薬と主治医への報告の記載があるかを見ています。
「内服確認」だけの記録に、足りない所をカードで
NURSE PARTNERは、服薬に触れているのに残薬や報告が書かれていない記録を見つけ、看護師ごとの確認カードで届けます。足す一文はコピーしてカイポケに貼るだけ。前の記録は消さずに足します。
対象:医療保険の訪問看護。服薬・残薬の記録と情報提供について、訪問看護療養費の通知・運営基準をもとに書いています(介護保険の訪問看護は、介護保険の基準を別に確かめてください)。
住宅型有料老人ホームなどへの訪問看護では、薬の管理を施設の職員と分け合っていることが多く、だれがどこまで確かめたかが記録から見えにくくなります。この記事では、改定の中身と、服薬・残薬の記録で当社が見ている項目、書き方の例をまとめます。
2026年6月改定で明確になったこと
令和8年度の診療報酬改定(訪問看護ステーション向けの資料)では、残薬対策の流れの中で、訪問看護の提供にあたって服薬状況(残薬の状況を含む)の確認を含め、利用状況などの把握を行うことが明確化されました。
これまでも服薬の確認は多くの事業所で行われてきましたが、記録には「内服確認」「残薬なし」の一言だけ、ということが少なくありませんでした。改定で明確になったことで、残薬の状況まで記録から読めるかが見られやすくなります。

主治医と薬局への情報提供
改定の資料は、服薬状況について「主治医への情報提供とともに、薬局への情報提供を行うことが望ましい」と書いています。記録では、主治医に何をいつ伝えたか、薬局に情報提供したかを、あとから読めるように残します。
| 伝える先 | 書き方 | 記録に残すこと |
|---|---|---|
| 主治医 | 情報提供(改定資料では「主治医への情報提供とともに」) | 報告した日時と内容、受けた指示。報告しなかった場合はその理由 |
| 薬局 | 情報提供を行うことが望ましい | 情報提供の有無、薬剤師への相談内容 |
当社の点検では、飲み忘れが続く、残薬が多い、副作用が疑われるといった場面で、主治医への報告の事実(報告していなければ理由)が記録にない場合を、優先して直す所として扱っています。「検討する」で止まっていて、実際に報告したのかどうかが分からない記録も同じです。
服薬の記録で見る10の項目
当社の点検は、関連会社の看護部がまとめた記録の基準をもとにしています。服薬に触れる記録では、次の10項目のうち、その日に当てはまるものが書かれているかを見ます。
| 項目 | 記録で確かめる内容 |
|---|---|
| 服薬状況 | 内服できているか、飲み忘れ、拒薬、自己中断 |
| 残薬状況 | 残薬のあり・なし、どの薬がどれくらい残っているか |
| 服薬方法 | 薬カレンダー、一包化、自己管理・職員管理・家族管理 |
| 服薬支援 | セット、声かけ、服薬確認、服薬介助 |
| 副作用の確認 | 眠気、ふらつき、便秘、下痢、発疹、低血糖、食欲低下など |
| 薬の変更 | 新しい薬、増量、減量、中止、頓服の変更 |
| 頓服の使用 | 使った理由、時間、効果、副作用 |
| 医師への報告 | 報告日時、内容、指示 |
| 薬局との連携 | 情報提供の有無、薬剤師への相談内容 |
| 介護職との連携 | 服薬の声かけ、見守り、残薬確認の申し送り |
10項目を毎回すべて書く必要はありません。薬が変わった日は変更後の状態観察、頓服を使った日は効果の判定、というように、その日に起きたことに対応する項目が書かれていれば十分です。

「内服確認。異常なし」をどう直すか
「内服確認。異常なし」のような一言の記録を例に、確かめた事実が分かる書き方を考えます。
| 前 | 後(見本) |
|---|---|
| 内服確認。異常なし。 | 確認方法:【薬カレンダー・一包化など】。服薬状況:【飲めている分・飲めていない分】。残薬の状況:【どの薬がどれくらい】。本人の発言:【 】。副作用の確認:【 】。実施した対応:【介護職への依頼・管理者への報告など】。主治医への情報提供:【実施の有無・日時・内容・受けた指示】。 |
【 】には、その日に確かめた事実だけを書きます。確かめられなかった項目は推測で埋めず、「本日は確認できず、次回確認する」のように事実を書きます。主治医への情報提供をしなかった理由を書いても、情報提供の代わりにはなりません。前の記録は消さず、追記の日付と記載者を入れて足します。

根拠のない「服薬良好」は書かない
反対に気をつけたいのが、確かめていないのに「服薬良好」「残薬なし」と書いてしまうことです。残薬を数えていない日に「残薬なし」と書くと、事実と違う記録になります。すでに書いた記録に訂正が要るときも、元の記録は消さず、追記の日付と記載者を入れて、訂正する箇所と確かめられた事実を書き足します。
確かめられなかった日は、「本日は残薬の確認ができず、次回確認する」と書けば事実の記録になります。記録の点検でAIを使う場合も、観察していない値を作らないことが前提です。考え方は看護SOAP300件の検証に書いています。
施設の介護職との申し送り
住宅型有料老人ホームでは、日々の服薬の声かけや見守りを施設の介護職が行い、訪問看護師が残薬や副作用を確かめる、という分担がよくあります。この場合、記録に「介護職へ声かけを依頼」「残薬確認を申し送り」と書いておくと、だれがどこまで確かめたかが分かります。申し送りの重なりを減らす考え方は介護の申し送りが毎回長引く理由でまとめています。記録チェック全体の流れは訪問看護の記録チェックを「直す」まで回す方法にあります。
よくある質問
2026年6月の改定で、訪問看護の服薬の確認はどう変わりましたか?
残薬を含めて服薬の状況をつかむことが、訪問看護の提供にあたっての決まりとして明確になりました。伝える先としては、主治医に加えて薬局にも伝えることが望ましい、という一文が入っています(指定訪問看護の運営基準の見直し)。
主治医と薬局への情報提供は、どう書かれていますか?
改定の資料では、服薬状況について「主治医への情報提供とともに、薬局への情報提供を行うことが望ましい」とされています。当社の点検では、飲み忘れや残薬、副作用の疑いがあった場面で、主治医への報告の事実(しなかった場合はその理由)が記録にあるかを優先して見ています。薬局への情報提供は、利用者の同意など事業所の決まりにそって行います。
「残薬なし」と一言だけ書くのは問題ですか?
実際に確かめた結果なら事実の記録ですが、どの薬をどう確かめたかが読めると、より説明しやすくなります。確かめていないのに「残薬なし」「服薬良好」と書くのは事実と違う記録になります。訂正が要るときは、元の記録を消さずに、追記の日付と記載者を入れて訂正と確かめた事実を書き足します。
服薬の記録では、毎回10項目すべてを書く必要がありますか?
必要ありません。その日に起きたことに対応する項目が書かれていれば十分です。薬が変わった日は変更後の状態観察、頓服を使った日は効果の判定、残薬があった日は対応と報告、というように選んで書きます。
施設の介護職が服薬を見ている場合、看護記録には何を書けばよいですか?
看護師が自分で確かめたこと(残薬、副作用、薬の変更後の状態など)と、介護職に依頼・申し送りしたことを分けて書くと、だれがどこまで確かめたかが分かります。(2026-10-14 時点の情報。出典:厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」・近畿厚生局「訪問看護記録書等の『記録』に関する規定について」)
- 2026年6月改定で、服薬状況(残薬を含む)の把握が明確化された。服薬状況は主治医への情報提供とともに、薬局への情報提供も望ましいとされた。
- 服薬の記録は10項目のうち、その日に当てはまるものを書く。主治医への報告の事実か、報告しなかった理由は優先して残す。
- 「内服確認。異常なし」は、確かめた事実を足して具体にする。確かめていない「服薬良好」「残薬なし」は書かず、訂正も元の記録を消さずに追記する。
服薬・残薬の記録の点検を軽くしたい方へ
NURSE PARTNERの画面をお見せしながら、確認カードで足りない所を届ける流れをご案内します。利用者さんの名前や記録の中身は送らないでください。


