訪問看護の新人の記録指導とは、新人が書いた本人の記録を材料にして、足りない所と、足すとよい一文を返し、次の記録で同じ抜けが出ていないかを見ていく指導のことです。書き方の一般論を何度も口で伝えるより、「この日の、この利用者の記録の、ここ」を本人に返すほうが、何を直すかがはっきりします。この記事では、当社が関連会社3SMILEの訪問看護で使っている返し方をまとめます。
新人の記録に、足す一文つきのカードを
NURSE PARTNERは、記録の点検で見つかった所を、利用者・訪問日ごとの確認カードにして看護師本人のスマホへ返します。主任は、だれのどこが何日残っているかを一覧で見られます。点数や順位は画面に出しません。
訪問看護では、新人が1人で訪問するようになると、記録を書くのも1人になります。同行の時期のように、その場で横から教えることはできません。主任や先輩が記録をあとで読み、足りない所を伝える形になりますが、伝え方は人によって少しずつ違います。
口でくり返す指導が、続かない理由
- どの記録の話か、探すところから始まる。「Aが弱い」と言われても、新人はどの日のどの利用者の記録かを探す必要があります。
- 言った・聞いたが残りにくい。口頭の指摘は履歴が残りにくく、チャットでも直したかを別に追うと、確かめる手間がかかります。
- 指導する人によって言い方が違う。先輩Aと先輩Bで言うことが違うと、新人は「どちらに合わせるか」で迷います。
3つとも、新人や指導する人の努力の問題ではなく、返し方の形の問題です。
本人の記録で返す、4つの決まり
当社は、新人に限らず全員に、次の決まりで返しています。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 人×利用者×訪問日で返す | 「あなたの、この利用者の、この日の記録」に1枚ずつ分ける。表をまとめて渡さない |
| 足りない所と、足す一文を並べる | 何が足りないかだけでなく、足すとよい一文の形を見せる。その日の事実で埋める所は【 】で空ける |
| 前の記録は消さずに足す | 追記した日付と記載者を入れて、その日の事実だけを足す |
| 直したら本人が知らせる | 主任が一人ずつ聞いて回らなくても、残りが数で見えるようにする(本人の報告で、記録ソフトの中身までは確かめない) |
文例は気づくための例です。観察していないことや、していない報告を書き足すために使うことはしません。新人には最初に、ここを一番はっきり伝えます。
指導で取り上げやすい4つの所
当社の点検の項目のうち、書き方の考え方に関わり、新人の指導で取り上げやすいのは次の4つです(多い・少ないを数えたものではありません)。
- S 欄が空:本人の訴え、または聞き取れなかった理由を書く。言葉はそのまま残す
- 値だけで評価が無い:基準を外れた値に、どう判断し、次に何をするか(再測定・報告)を書く
- A・P 欄が前回と同じ文:その日の観察から判断したことを書く。考え方はSOAPのA(評価)が空になる理由と書き方と「漫然・画一的」と言われない訪問看護記録に書いています
- 続いている所見の報告:前回から続く所見に、主治医へ報告したか、しない理由を書く

返し方の例(見本)
以下は説明のために作った見本で、実在の利用者の記録ではありません。
| 元の記録 | 返す内容 |
|---|---|
| BT 37.8℃。様子観察。 | 足りない所:外れた値への評価と次の行動。 足す一文の例:37.8℃のため、【 】時に再検温し【 】℃。【本人の訴え・症状】。【主治医・管理者への報告の有無】。 |
| A)状態安定。P)継続。(前回と同じ文) | 足りない所:その日の判断。 足す一文の例:本日の観察(【 】)から【 】と判断した。次回は【 】を確認する。 |
| S 欄が空 | 足りない所:本人の言葉、または聞き取れなかった理由。 足す一文の例:S)「【本人の言葉】」/本日は傾眠のため聞き取りできず。 |
例の言葉は形の見本です。【 】だけでなく文全体をその日の事実に合わせ、していないこと(再検温・報告など)や当てはまらないことは消します。【 】を埋められないときは推測で埋めず、主任に相談して、確かめられた事実だけを書きます。新人が迷いやすいのは、埋められないときにどう書くかです。ここを例で見せると、指導の言い方がそろいます。

主任が見るのは、点数ではなく残り
当社は、記録を「点を取る物」にしないために、看護師の点数や順位を画面に出さず、主任の画面には「残っているカードの数」と「何日そのままか」を出しています。カードの「直した」は本人の報告で、記録ソフトの中身までは確かめないため、主任による記録の確認や指導の代わりにはなりません。長く止まっている人には、責めるのではなく、どこで迷っているかを聞きに行きます。直した人には、それを伝えます。
記録の点検で見る項目の全体は訪問看護記録書Ⅱの点検表、点検から直すまでの流れは訪問看護の記録チェックを「直す」まで回す方法にまとめています。
よくある質問
新人の記録は、全部を主任が読むべきですか?
最初のうちは読むことが多いはずです。当社は、点検で足りない所が見つかった記録をカードにして本人に返し、主任は残りと日数を見る形にしています。カードの「直した」は本人の報告なので、必要な記録の確認や指導は、これまでどおり主任が行います。
文例をそのまま貼らせてよいですか?
文例は気づくための例です。文全体をその日の事実に合わせ、していないことは消します。【 】を埋められないときは推測で埋めず、主任に相談して、確かめられた事実だけを書きます。
指摘が多い新人に、どう声をかけますか?
当社は数や点数で比べず、何日そのままかを見て、長く止まっている所から一緒に見ます。どの書き方で迷っているかが分かれば、同じ例を全員に共有できます。
新人だけに使う仕組みですか?
いいえ。当社は全員の記録に同じ決まりで返しています。新人だけに返すと、新人には「自分だけ見られている」と受け取られやすいからです。
- 口頭が中心の指導では、どの記録の話かを探す手間・履歴が残りにくい・人によって言い方が違う、の3つで止まりやすい
- 本人の記録を人×利用者×訪問日で返し、足りない所と足す一文(【 】つき)を並べる。前の記録は消さず、事実だけを足す
- 主任は点数や順位を画面に出さず、残りと日数を見る。例の言葉は形の見本で、していないことは消す・【 】は推測で埋めない、を最初に伝える
管理者・主任の方へ:記録の「直して」を、言いっぱなしにしない
NURSE PARTNERは、記録の点検で見つかった所を確認カードで本人に返し、主任は残りと日数を一覧で見られます。導入費150,000円・月額25,000円〜(税別・看護師の人数と施設の数で見積もり)。お問い合わせのフォーム・LINE には、利用者さんの名前や記録の中身を送らないでください。



