訪問看護記録書Ⅱの点検表とは、毎回の訪問の記録が、通知で決まった記録の事項と、事業所で決めた書き方を満たしているかを、主任や管理者が同じ目で見るための表です。医療保険の訪問看護では、記録書に書く事項が厚生労働省の通知(令和8年3月5日 保発0305第19号)で決まっており、2026年(令和8年)6月の改定では、訪問の開始・終了時刻などが改定項目として明記されました。この記事では、当社が関連会社3SMILEの訪問看護で使っている点検の項目を、記録書Ⅱの点検の例として(全部の要件を網羅したものではありません)、制度で決まった事項と当社が足している項目に分けて表にします。
見つけた所を、書いた本人に返すところまで
NURSE PARTNERは、記録ソフトから出した記録を、この記事の「当社の6つの項目」で点検し、足りない所を「足す一文」つきの確認カードで看護師本人のスマホへ返します。主任は、だれのカードが何枚・何日残っているかを一覧で見られます。
記録のチェックは、多くの事業所で主任や管理者の仕事になっています。訪問にも出ながら、スタッフ全員の記録を開いて読み、足りない所を口頭やメモで伝える。見る人によって見る所が少しずつ違うと、看護師には「前は言われなかった」と受け取られます。点検表は、見る所をそろえるための道具です。対象は医療保険の訪問看護です(介護保険の訪問看護は、介護保険の基準を別に確かめてください)。
点検表を2つに分ける理由
点検の項目には、通知で書くことが決まっている事項と、事業所が記録の質のために足している項目が混ざりがちです。この2つを同じ表に並べると、看護師には全部が「書かないと違反」に見えてしまい、説明する主任も根拠を問われて困ります。
当社は、表を「制度」と「当社の項目」の2つに分け、看護師に返すときも、どちらの理由で返しているかが分かるようにしています。たとえば「A 欄が前回と同じ文」は、それだけで通知に反するわけではありません。当社は、看護目標と訪問看護計画に沿って行うこと(漫然・画一的にしないこと)を記録から読めるようにするために、自社の項目として見ています。
制度で決まった記録の事項
通知では、毎回の訪問について、次の事項を訪問看護記録書に書くことになっています。あわせて、日々の利用者氏名・訪問場所・訪問時間(実際の開始時刻と終了時刻)・訪問人数を記録して保管します。
| 点検する事項 | 見る所 | 根拠 |
|---|---|---|
| 訪問年月日 | 記録の日付と、実際に訪問した日が合っているか | 保発0305第19号 |
| 実際の開始・終了時刻 | 予定の時刻ではなく、訪問を始めた時刻と終えた時刻か | 同上・2026年6月改定で明記 |
| 心身の状態 | 体温・脈拍などの値と、病状が書かれているか | 同上 |
| 家庭などでの看護の状況 | 家族や施設の職員の関わりが読めるか | 同上 |
| 実施した内容・実施に要した時間 | 何をしたかと、その時間が書かれているか | 同上 |
| 同一建物居住者への訪問の長さ | 医療保険の訪問看護基本療養費(Ⅱ)などの該当する区分では、30分以上を標準とし、20分未満は算定できない。実際の時間が記録から読めるか | 2026年6月改定 |
| 目標に対する評価 | 看護目標の達成の程度と効果を評価して書いているか | 2026年6月改定 |
改定の中身は、時刻は訪問看護記録書の開始・終了時刻の書き方と点検、訪問の長さは同一建物訪問の20分、評価欄(SOAP の A 欄など)はSOAPのA(評価)で、通知の原文と一緒に書いています。特別訪問看護指示書の期間は、指示書が出ている利用者について確かめます。加算に固有の記録の要件(褥瘡・緊急訪問・電話の対応など)は、算定している加算に応じて表に足してください(実施した看護や連絡の記録そのものは、加算の有無にかかわらず書きます)。包括型訪問看護療養費の記録書Ⅲは、この表とは別に確かめてください。

当社が足している6つの項目
次の6つは、制度で書くことが決まった事項そのものではなく、当社が記録の質のために見ている項目です。看護師に返すときは「当社の決まり」として返します。
| 項目 | 見る所 | 本人に返す一文の例 |
|---|---|---|
| 値と本文 | 入力した測定値(SpO2 など)が、本文から消えていないか | SpO2【 】%(安静時)。 |
| 外れた値への評価 | 基準を外れた値に、評価と次の行動(報告・再測定)があるか | 37.8℃のため、【 】時に再検温し【 】℃。 |
| 続いている所見 | 前回から続く所見に、主治医へ報告したか・しない理由があるか | 下肢の浮腫が続くため、【日時】主治医へ報告した。 |
| 同じ文のくり返し | A 欄・P 欄が前回と同じ文になっていないか | 本日の観察から【 】と判断した。 |
| S 欄 | 本人の訴え、または聞き取れなかった理由があるか | S)【本人の言葉】 |
| 記録の時刻 | 開始・終了の時刻のずれ(理由が分かるか) | 理由を選んでもらい、事実を追記する |
一文の例は形の見本です。【 】だけでなく文全体をその日の事実に合わせ、していないこと(再検温・報告など)は消します。観察していない値や、していない報告を書き足すことはしません。分からないことは主任に相談し、確かめられた事実だけを、追記の日付と記載者を入れて書きます。
見つけた所を、どう返すか
点検表で見つけた所は、表のまま配るより、人×利用者×訪問日に分けて返すほうが、看護師はどこを直すかを探さずに済みます。当社は次の決まりで返しています。
- 前の記録は消さない。追記した日付と記載者を入れて、その日の事実だけを足す
- 「制度」か「当社の決まり」かを、返すときに分ける
- 直したら本人が「貼った」と知らせる。主任が一人ずつ聞いて回らなくても、残りが数で見えるようにする(本人の報告で、記録ソフトの中身までは確かめない)
- 残りは「何日そのままか」で見る。責めるためではなく、手伝う所を見つけるため

月に1回、さかのぼって見る理由
医療保険の訪問看護の個別指導で、不当な請求などの事項が見つかると、事業所に自主点検が求められ、自主点検で同じような事項が見つかれば、指摘された分と合わせて自主返還を求められる取り扱いになっています。厚生労働省の通知「指定訪問看護事業者等の指導及び監査の取扱い」には、自主返還の期間は原則として指導月前1年以上と書かれています。
記録の書き足りない所が、そのまま返還につながるとは限りません。ただ、指摘を受けたときには、同じような事項がほかの利用者や前の月にもないかを、さかのぼって探すことになります。当社は、指導の前にまとめて見直すより、毎月の点検で少しずつ直しておく運用にしています(制度で決まった頻度ではありません)。なお、記録の点検で分かるのは記録の中の抜けまでです。同一建物の人数・算定の区分・請求との一致は、請求の側で別に確かめてください。
表で回すときの順番
専用の仕組みがなくても、次の順番なら表で始められます。①上の「制度」の表から始め、算定している加算の項目だけを足す。②「当社の項目」は、主任が説明できる物だけに絞る。③見つけた所を人×利用者×訪問日で返す。④本人が直したら印をつけ、残りと日数を主任が見る。表を配って集める手間が重くなったら、仕組みに置きかえる時期です。点検から直すまでの流れの全体は訪問看護の記録チェックを「直す」まで回す方法にまとめています。
参考(公的情報):厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」 / 近畿厚生局「訪問看護記録書等の『記録』に関する規定について(該当箇所のみ抜粋)」(保発0305第19号) / 厚生労働省「指定訪問看護事業者等の指導及び監査の取扱いについて」の一部改正(令和7年4月3日 保医発0403第1号・https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9146&dataType=1&pageNo=1)
よくある質問
訪問看護記録書Ⅱの点検は、どのくらいの頻度で行うとよいですか?
決まった頻度はありません。当社は月に1回、記録ソフトから記録を出して点検しています。個別指導で不当な事項を指摘されると、同じような事項をさかのぼって自主点検することがあるため、まとめて見直すより、毎月少しずつ直しておく運用にしています。
A 欄が前回と同じ文なのは、違反ですか?
それだけで通知に反するとは言えません。2026年6月の改定では、看護目標と訪問看護計画に沿って行い、漫然・画一的にならないことが示されました。当社は、それを記録から読めるようにするための自社の項目として、前回と同じ文を見ています。
点検表で、請求の誤りも見つけられますか?
記録の点検で分かるのは、記録の中の抜けまでです。同一建物の人数・算定の区分・請求との一致などは、請求の側で別に確かめてください。
見つけた所は、前の記録を書き直してよいですか?
当社は書き直さず、追記した日付と記載者を入れて、その日の事実だけを足す決まりにしています。いつ・だれが何を足したかが、あとから追えるようにするためです。
- 点検表は「制度で決まった事項」と「事業所が足している項目」に分ける。混ぜると、全部が違反に見え、根拠を問われて説明に困る
- 制度の事項は通知(保発0305第19号)と2026年6月改定(開始・終了時刻、同一建物の訪問の長さ、目標に対する評価など)から。加算は算定している物だけ足す
- 見つけた所は人×利用者×訪問日で返し、前の記録を消さずに事実だけを足す。個別指導で不当な事項を指摘されると、自主返還の期間は原則として指導月前1年以上。当社は毎月少しずつ直す運用にしている
管理者・主任の方へ:点検表の「返す」と「残りを見る」を受け持ちます
NURSE PARTNERは、記録ソフトから出した記録を点検し、足りない所を確認カードで書いた本人に返します。主任は残りと日数を一覧で見られます。導入費150,000円・月額25,000円〜(税別・看護師の人数と施設の数で見積もり)。お問い合わせのフォーム・LINE には、利用者さんの名前や記録の中身を送らないでください。



