カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、顧客や取引先などの言動で、社会通念上許される範囲を超え、働く人の就業環境が害されるものです。2026年10月1日から、カスハラを防ぐための措置が、人を雇うすべての事業主の義務になりました。入居者・オーナー・近隣の方からの連絡を受ける管理会社では、方針を決めて社内に知らせ、相談の窓口を置き、「一人で対応させない」決まりを作ることから始めます。
管理会社には、夜の水漏れ、騒音の苦情、家賃の催促への反発、退去の費用への不満など、気持ちが高ぶった連絡が集まります。多くは正当な相談で、ていねいに受けることが仕事です。一方で、怒鳴る・長時間つかまえる・担当者を名指しで責め続けるといった言動から、働く人を守る決まりも要ります。この記事は、厚生労働省の公開資料(2026年10月25日に確認)をもとにまとめています。
どこからがカスハラか(3つの要素)
厚生労働省の資料では、次の3つをすべて満たすものを、職場のカスタマーハラスメントとしています。電話やSNSなどインターネット上の言動も含みます。
| 要素 | 中身 |
|---|---|
| 1. 顧客等の言動 | 顧客・取引の相手方・施設の利用者など、事業に関係する人の言動(管理会社なら入居者・オーナー・近隣の方・業者など) |
| 2. 許される範囲を超える | 要求の中身が理由のないものや契約を大きく超えるもの、または手段が暴言・脅し・長時間の拘束・居座りなど |
| 3. 就業環境が害される | 働く人が、仕事を続けるのにさしつかえるほどの影響を受けている |
正当な苦情と、カスハラは分けて考えます。「お湯が出ないので直してほしい」という要望の中身は正当です。口調が強くても、まず受けて直します。ただし、暴言・脅し・長時間の拘束など、手段が許される範囲を超えて就業環境が害される場合は、カスハラになり得ます。

事業主がしなければならない10の措置
改正労働施策総合推進法と指針(令和8年厚生労働省告示第51号)により、2026年10月1日から、事業主は次の措置を講じなければなりません。厚生労働省のリーフレットの並びを、短い言葉にしたものです。
- カスハラには毅然として対応し、働く人を守るという方針を決めて、社内に知らせる
- カスハラの中身と、あらかじめ決めた対処の仕方を社内に知らせる(上司の指示をあおぐ・なるべく一人で対応させない・犯罪にあたる言動は警察へ・本社と情報を共有するなど)
- 相談の窓口を決めて、社内に知らせる
- 窓口の担当者が、適切に対応できるようにする
- 相談があれば、事実を早く正確に確かめる
- 被害を受けた人に配慮する
- 再発を防ぐ手を打つ
- 特に悪質なカスハラへの対処の方針を先に決めて社内に知らせ、対処できる体制を整える
- 相談した人のプライバシーを守り、そのことを社内に知らせる
- 相談したことなどを理由に、不利益な扱いをしないと決めて、社内に知らせる
小さな会社でも対象です。また、対策を進めるときは、消費者の権利や、障害のある方への合理的配慮に気をつけることも示されています。
出典:厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662576.pdf/厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
管理会社で起きやすい場面と、決めておくこと
| 場面 | 決めておくこと |
|---|---|
| 夜や休日の電話 | 急ぎ(水漏れ・鍵・火災)とそれ以外の分け方と、受ける時間。急ぎ以外は翌営業日に返すと伝える |
| 長い電話・何度もの電話 | 同じ話が続くときは、上司に代わる・時間を区切る・書面で回答する、の順番 |
| 来店・居座り | 二人以上で対応する。帰ってもらえないときの声かけと、警察へ連絡する目安 |
| 退去の費用への不満 | 写真と原状回復のガイドラインで説明する。金額の交渉は担当者一人で決めない |
| 担当者を名指しで責める | 担当を替える・会社として返事をする。SNSへの書き込みは記録を残し、本社で対応を決める |
退去の説明の進め方は、写真で進める退去立会いにまとめています。
記録を残す形をそろえる
事実を早く確かめるには、受けた連絡の記録が要ります。電話・LINE・来店のどれで受けても、同じ形で残します。
- 日時・相手・物件と部屋・受けた人
- 相手の求めていること(言われた言葉は、できるだけそのまま)
- こちらの返事と、次にすること
- 上司に共有した日時
記録は、担当者を責めるためではなく、守るために使います。入居者対応の記録は、対応に必要な担当者の範囲で共有します。従業員からの被害相談や健康に関する情報は、この記録とは別に扱います。
OWNER LINK でいま使えるのは、ログイン、オーナー・物件・部屋・入居者の台帳、書類の保管、会社の追加です。入金消込(通帳の読み取りを含む)・送金明細・公式LINEとAI・退去・オーナーレポートは開発中で、順に公開します。相談では、いま使える機能と開発中の機能を分けてご案内します。
よくある質問
従業員が数人の管理会社も、カスハラ対策の義務の対象ですか?
対象です。2026年10月1日から、人を雇う事業主に、方針を決めて社内に知らせる・相談の窓口を置くなどの措置が義務になりました。くわしくは、お近くの都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)にご確認ください。
入居者の強い苦情は、すべてカスハラになりますか?
なりません。要求の中身に理由があり、言い方も許される範囲なら、正当な苦情です。理由のない要求や、暴言・脅し・長時間の拘束など、3つの要素をすべて満たすものがカスハラです。
まず何から始めればよいですか?
会社の方針を1枚にまとめて社内に知らせ、相談の窓口を決めることからです。あわせて、夜や休日の連絡の受け方と、一人で対応させない決まりを書いておきます。
- 2026年10月1日から、カスハラ対策は人を雇う事業主の義務
- 方針・相談の窓口・事後の対応・悪質な場合の対処など10の措置を整える
- 夜の電話・長い電話・来店・退去費用の場面ごとに、一人で抱えない決まりを作る
入居者の連絡の受け方を、ご一緒に整えます
架空のデータの画面でご案内します。入居者さまやオーナーさまの情報が入った資料は送らないでください。



